国登録有形文化財に建造物10件新規登録 繭糸商の別邸など
【群馬】国の文化審議会は22日、繭糸(けんし)商や金融業、倉庫業を営んだ江原本家清芳山荘(旧木村清四郎邸、前橋市)など建造物10件について、国登録有形文化財への新規登録を答申した。
江原本家は、貴族院議員の江原芳平(1849~1928)を出した旧家。第5代前橋市長を務めた江原桂三郎(1894~1967)は分家出身だ。清芳山荘は木造平屋建て、瓦ぶきの近代和風建築で、洋室には木製マントルピースを備えている。大正2(1913)年に、日銀副総裁を務めた木村清四郎の邸宅として都内に建築され、後に江原本家が譲り受けて移築した。土蔵3件も新規登録される。
このほか新規登録されるのは、繭糸商を営み、初代前橋市長を務めた下村善太郎(1827~1893)らを出した下村家の住宅主屋(木造平屋建て、江戸末期築)と稲荷社。モラロジーを提唱し、学校法人広池学園を創立した広池千九郎(ちくろう)(1866~1938)の谷川記念館麗沢館(旧主屋及び旧浴場)、大穴記念館偲ぶの湯(旧洞窟温泉)など4件。
麗沢館は昭和11(1936)年築の平屋建て。杉皮ぶきの屋根の上に杉皮ぶき屋根を重ね、外壁を杉皮で仕上げるなど、地元の杉材を多用した特異な外観を呈している。