旧小林家住宅など国文化財に 広島県内から10件 文化審答申
広島県内で、尾道市や東広島市、廿日市市の町屋や土蔵など10件が国の有形文化財(建造物)に登録されることになった。国の文化審議会が22日、文部科学相に答申した。
尾道市の旧小林家住宅主屋は1933年に建てられた。山口県出身の洋画家小林和作(1888~1974)が34年に移り住み、不慮の事故で亡くなるまで暮らしていた。千光寺山などが望める高台に立つ木造2階建てで、2階にアトリエがあった。1970年ごろ、茶室などが増築されている。
同じく尾道市にある木造3階建ての旧小野産婦人科医院は38年建築。1階は診察室や手術室、2階は病室、3階には看護師の宿直室があった。施主の小野鉄之助は和作の親友で、1階には和作の手がけた壁画も残る。
2件は老朽化に伴い、2020年ごろに取り壊す計画が浮上。市内で空き家の活性化に取り組むNPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」が補助金などを使って改修した。
和作旧宅は国内外の芸術家向けの滞在や交流の場となり、旧小野医院も古書店や、市内への移住を前提とした中長期の宿泊施設などになった。
同法人の豊田雅子代表理事は「文化財になることで、歴史の生き証人といえる建物を次の世代に引き継ぎやすくなったと思う」と話す。