早産の赤ちゃんと親たち「紙一重を生き抜いてきた」写真が伝える物語

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机美鈴
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 麻酔から覚めて対面した我が子は、まぶたが形成されておらず、太ももは大人の小指よりも細かった。薄い肌からは内臓が透けて見えた。

 奈良県桜井市の病院職員村島伸子さん(39)は妊娠25週で584グラムの長女を出産した。2019年6月のことだ。

 おなかの張りを感じてかかりつけ医を受診したところ救急搬送され、出産予定日より100日以上早く帝王切開に。子宮から胎盤がはがれてしまう「常位胎盤早期剝離(はくり)」だった。

 医師から「数日の命かもしれない」と告げられた。最初に浮かんだ言葉は「ごめん」。ちゃんとおなかの中で育ててあげられなかった申し訳なさと後悔だった。

 母乳を搾り、NICUに毎日届けながら涙が止まらなかった。身近な人の「かわいそう」「なんでそうなったん?」といった言葉一つひとつに傷ついた。

11月17日は世界早産児デー。医療の進歩によって助かる赤ちゃんが増えるなか、2500グラム未満で生まれる低出生体重児は現在、全体の9%台に上ります。同じ立場の親たちとつながり、支え合ってきた村島さん。根底には「紙一重のところを生きてきた」という思いがあると言います。

 ネットを検索し、合併症や障…

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この記事を書いた人
机美鈴
奈良総局|県政・教育担当
専門・関心分野
ジェンダー、性、動物福祉、化学物質過敏症