米大統領を待ち受ける「わな」 勝敗を分けた「現職敗北」の潮流

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ニューヨーク=中井大助
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 米大統領選から一夜明けた11月6日、首都ワシントンは驚くほど平穏だった。共和党ドナルド・トランプ前大統領(78)が勝ったことに対する抗議デモなどもなければ、街の「ざわつき」も特に感じられなかった。

 2016年11月にトランプ氏が初当選を決めた時、筆者はニューヨークにいた。当時はマンハッタンのトランプ・タワー前に人が押し寄せ、街中で見かける人の多くが茫然自失(ぼうぜんじしつ)の表情を浮かべていた。その様子と比べると、今回は全く違った。

 「接戦」の事前予想を裏切って、11月5日の米大統領選はトランプ前大統領が「完勝」した。ハリス副大統領はなぜ失速したのか。トランプ氏は4年前と何が違ったのか。米国取材を続けてきた記者が選挙戦を振り返り、勝敗の分かれ目を分析した。

なぜトランプ氏は「完勝」したか

 理由の一つは、トランプ氏の勝利がある程度予想されたことだろう。事前の世論調査でも接戦が伝えられ、トランプ氏と民主党のハリス副大統領(60)の勝敗の可能性は五分五分と言われていた。トランプ氏の当選を予想した人が少なかった16年とは違う。

 もう一つ異なる点は、トランプ氏の「勝ち方」かもしれない。

 16年は全米の総得票数で民…

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この記事を書いた人
中井大助
アメリカ総局長
専門・関心分野
アメリカの社会、政治、文化
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