第28回指示待ちからの飛翔 高校野球の青鳥特別支援がリーグ戦で示した成長

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編集委員・中小路徹
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 「ツーアウト、一、二塁! あと一つ!」

 11月24日、茨城県牛久市にある上野学園(東京)の野球グラウンド。八王子実践(東京)と相対していた青鳥(せいちょう)特別支援(東京)の捕手がナインに声をかけ、守備陣が「あと一つ!」と応えている。

 守備陣が状況を確認し、声をかけあう。野球では日常的な光景だが、青鳥特別支援にとっては、成長の姿だ。

 知的障害のある生徒が通う都立高の選手たちは、アウトカウントや走者の状況に合わせ、自分で判断することが得意ではない。「以前は指導者がいちいち言う必要があった。でも、指示待ちではなく、少しずつ、野球をそれぞれが考えられるようになっています」と久保田浩司監督は話す。

 この試合はリーガ・アグレシーバの一つ、リーガ東京の試合だ。

 リーガ・アグレシーバは、高校野球で基本的にトーナメントで行われる公式戦と別に、都道府県や地域単位でリーグ形式の試合をしながら成長につなげていこうという理念の取り組みだ。今年度は26都道府県で、趣旨に賛同した160校が参加。試合後の合同ミーティングなどの交流も大事にしている。リーガ東京は発足3年目で、今年は近隣県の学校を含む7校が参加している。

 青鳥特別支援のベースボール部は、部員12人。2023年に東京都高校野球連盟に加盟。この年の夏に連合チームで初めて全国高校野球選手権の西東京大会に出場した。

 今夏は単独チームで出場し…

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この記事を書いた人
中小路徹
編集委員|スポーツと社会
専門・関心分野
スポーツと社会、サッカー、朝鮮半島

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