6野党が衆院選の選挙区で候補者を一本化していたら? 試算すると
10月の衆院選後、11月に開かれた特別国会で、自民党の石破茂総裁が再び首相に選出されました。衆院選では、自民党の獲得議席は191(公示前は247)で、公明党の24(同32)と合わせても、過半数の233を割り込みました。一方、立憲民主党が148(同98)と議席を1.5倍に伸ばすなど、野党が多数を占めました。野党が首相指名選挙で一本化すれば、12年ぶりの政権交代が起きたはずですが、そうはなりませんでした。
立憲の野田佳彦代表はもちろんそれを望んでいたのですが、野党がまとまれなかったのは、立憲が単独過半数を獲得できなかったのはもちろん、比較第1党になれなかったことも決定的でした。
21年前の2003年11月の衆院選で、自民の237議席に対し、民主が177議席に迫った時、小沢一郎氏は「負けは負け」と指摘しました。勝敗だけを論じれば、躍進したとはいえ、立憲は今回も負けたわけです。
敗因の一つには、石破首相が電撃解散に踏み切ったことで、野党の候補者一本化が「魔法使いでもない限り、難しい」(小沢氏)という状況に陥ったことがあるかもしれません。
3年前の前回衆院選では、289の小選挙区のうち、立憲、共産、国民、れいわ、社民の5党が候補者一本化を進め、維新も含めた主要野党系の候補が1人だった選挙区、複数立った選挙区はそれぞれ5割を占め、野党側が勝利したのは、ともに3割前後でした。野党が候補者を絞り込んでも、その効果はあまりありませんでした。
今回の衆院選では、主要6野党の候補または野党系無所属が1人の選挙区は46選挙区にとどまり、8割を超える243選挙区で候補が競合しました。6野党系が1人の選挙区でみると、与党系は26勝なのに対し、6野党系は20勝で負け越しました。一方、6野党系が競合した区では、与党系の116勝に対し、6野党系が126勝と勝ち越しました(残り1は日本保守党)。
6野党系が1人の選挙区では、立憲は16勝12敗、共産は1勝11敗、社民は3敗、国民1勝、維新1勝、無所属1勝でした。勝率の点に限れば、共産、社民の分が悪い結果でした。
一方、競合区をみると、立憲は88勝、維新は22勝、国民は10勝、社民は1勝、無所属は5勝でした。
衆院選投票日に朝日新聞社が実施した出口調査では、野党側が1人の選挙区でも、競合区でも、無党派層の34%が立憲の候補に投票していました。競合区でも、野党第1党効果のあらわれか、無党派層の支持は立憲に集中していました。
では、仮に、主要野党6党側が全選挙区で候補者を一本化したと想定したらどのような結果になっていたでしょうか。
実際の選挙区の選挙結果は…