「書かない」「待たない」窓口を弥彦村が導入へ 実現すれば新潟で初

久保田正
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 「書かない」「待たない」窓口の導入へ、新潟県弥彦村が動いている。現在、来庁者は「転入」「入学」などの目的ごとに担当課を回り、手続きの分だけ書類を出す。ただDX(デジタル変革)化を図れば、1カ所の窓口ですべての手続きができ、書類への記入も不要になるという。来年6月の導入を目指しており、実現すれば県内初の試みとなる。

 11月19、20の両日、すでに窓口業務にDXを採り入れている三重県桑名市の職員を弥彦村が招き、現在のやり方で各種の手続きを体験してもらった。出生や死亡、転入などの届け出に要した時間や書類への記入回数などを調べ、問題点や課題の洗い出しをするのが狙いだ。

 「埼玉県川越市から一家で弥彦村に引っ越し。後期高齢者の父親と本人、妊娠中の妻、保育園児、小3、中1の3人の娘がいる6人家族」という設定でやってもらった。転入や子どもの入学・入園などの手続き、印鑑登録などを行ったところ、およそ2時間10分かかった。その後は村職員も交えて反省点や改善策などを出し合うワークショップを実施。意見やアイデアは今後に生かすという。

 同村が導入を予定する「窓口システム」は、窓口の職員が来庁者から状況や希望を聞き取って必要事項をシステムに入力。来庁者は内容を確認して署名すると手続きが済むというもの。データは関係部署に共有される。担当課を回ったり、書類に必要事項を書き込んだりする必要はなくなる。

 デジタル庁が自治体の声を聞き、いくつかの要件を定めたうえで、構築したシステムで、昨年度は全国で17自治体が導入し、今年度は30自治体が導入予定。デジタル庁によると、県内ではほかに2自治体が導入を検討中だという。

 同庁によると、導入した自治体からは「40項目書かないといけなかったのが、4カ所の署名だけになった」「年度末の繁忙期に対応件数は増えたものの、待ち時間、残業時間とも減った」などの声が寄せられたという。

 同村住民福祉課の斎藤雄希課長は「デジタル技術を活用することで、利用者の利便性を向上させるだけでなく、職員の負担も軽減でき、双方にメリットがある」と話している。

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