国見町の村上新町長、救急車事業の再検証を明言せず

酒本友紀子
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 企業版ふるさと納税制度を利用した国見町の高規格救急車研究開発事業が中止になった問題で、寄付を受けるため町が策定した地域再生計画の認定を内閣府が取り消したことについて、11月に就任した村上利通町長は11日、町議会で「重く受け止める」と答弁した。事業の再検証については明言しなかった。

 事業をめぐっては、町議会の調査特別委員会(百条委)が7月、「入札に見せかけた実質的な随意契約だった」と指摘する報告書を公表。町の第三者委員会も9月に問題点を指摘する報告書をまとめた。内閣府が11月、制度が禁じる「寄付者側への経済的見返り」があったとして計画の認定を取り消したことを受け、町長選で現職を破って当選した村上町長の対応が注目されていた。

 村上町長はこの日の答弁で「二度と同じようなことを起こさないよう法令にのっとった町政運営をしっかりやっていく必要がある」とし、再検証については「対応の議論を重ねたい」と述べるにとどめた。

 議会では事業をめぐり監査委員事務局などに情報提供した町職員が懲戒処分を受けたことも取り上げられた。議員側から改めて職員の処分判断について問われた渋谷康弘総務課長は「現段階でも判断は正しい」と述べ、公益通報の対象事実である法令違反行為はなかったとして、職員の行為は公益通報に当たらないと強調。職員の公益通報について要綱を策定する方針を明らかにした。一方、弁護士などの外部通報窓口の設置については取材に「現時点では設ける予定はない」とした。

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この記事を書いた人
酒本友紀子
福島総局
専門・関心分野
共生社会、人権、司法、国策と地方