「副作用の分析が不十分」金融緩和策の検証、元日銀審議委員に聞く

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聞き手・山本恭介
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 日本銀行が過去25年間の金融緩和策を検証する「多角的レビュー(検証)」を公表し、金融緩和の効果と副作用について総括しました。レビューの内容は十分なのか、今後の金融政策にどのように生かされるのか。2012~17年まで日銀の審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストに聞きました。

 ――多角的レビューをどのように読みましたか。

 「評価できる部分と課題、両方あります。過去25年の非伝統的と言われる金融政策の効果と副作用を、当時の経済、物価環境も踏まえて分析したことは重要だと思います。リーマン・ショック後、多くの中央銀行が非伝統的金融政策を導入しましたが、効果や副作用の検証はしておらず、日銀が先駆的に実施したことは評価できます」

 「ただ、効果と副作用の分析がされたものの、両論併記にとどまっています。効果については日銀独自の調査分析が多い一方、副作用については独自分析は少なく、外部の指摘や研究の紹介にとどまっています」

 ――特に検証が不足している点は何でしたか。

 「国債市場の機能低下には触…

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この記事を書いた人
山本恭介
経済部兼国際報道部兼デジタル企画報道部|銀行担当
専門・関心分野
資産形成、社会保障、労働政策