進化するAI、デジタル化する民事裁判 弁護士に求められる仕事とは

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森下裕介 河原田慎一
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 10~20年後、日本の労働人口の49%が人工知能(AI)やロボットなどで代替できる――。野村総合研究所と英オックスフォード大が、そんな調査結果を発表してから10年近くがたった。AIが、弁護士に取って代わるような時代はやってくるのか。

 東京・新橋の雑居ビルの一室。対話型AIの「ChatGPTチャットGPT)」を活用し、法律相談のチャットを開発したというスタートアップ企業「Legal AI」の事務所を訪れた。

 「離婚したい」。チャット欄にそう打ち込むと、モニターに数秒で「回答」が表示された。「離婚を考えている場合、日本の法律では主に協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つの方法があります。それぞれについて簡単に説明します」――。

ひまわりが表すのは「正義と自由」

 司法過疎や複雑化する人権課題などを解決するため、法曹人口の拡大を目指した司法制度改革から約20年。ひまわりのバッジをつけた弁護士の数は都市部を中心に増えたが、地方では「弁護士が足りない」との声があがる。人工知能(AI)の進化や、裁判手続きのデジタル化に伴い、弁護士の役割も問い直されている。岐路に立つ「ひまわり」の今を追う。

 AIの進化により、法令や判例、論文など膨大な情報を解析し、一定の「回答」を導き出せるようになった。24時間いつでも、どこにいてもアクセスでき、「民泊を開業したい」「威圧的な職質は違法か」など様々な相談ができる。こうしたサービスを開発した背景には「法律が身近なものになっていない」という問題意識があるという。

AIで法的トラブルを「予防」

 SNSなどでの誹謗(ひぼう…

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この記事を書いた人
森下裕介
ネットワーク報道本部|地方裁判担当
専門・関心分野
司法、刑事政策、人権