「ピザをつくるな」 同業に転職後訴えられたピザ職人 司法の判断は

有料記事

米田優人
[PR]

 ピザ店の従業員が、退職後に別のピザ店で働き始めたところ、前の勤務先から「ピザをつくるな」と訴えられた。同業他社への転職などを禁じる合意に違反しているとの理由だった。秘密保護のために企業が従業員と事前に合意を結ぶケースが少なくないなか、裁判所はどんな結論を出したのか。

 訴えられたのは、東京都内のピザ店で2017~22年に調理を担当していた2人。この店を運営する「A社」は、人気店として知られる複数のピザ店を都心などで展開している。

 2人は18~19年、同業他社への転職などを禁じる「競業避止(きょうぎょうひし)」の合意をA社と交わした。以下の行為を禁止する内容だった。

禁止行為の内容は

 ①在職中や退社後、直接・間接を問わず、(東京23区の一部など)A社が指定した地域で同一、同種または類似の営業をすること

 ②A社が提供するメニューの調理法、使用する材料、仕入れ先情報などの各種ノウハウを利用して事業を自ら設立したり、第三者の下で従事したりすること

 ③ピザの生地をつくること

 禁止事項を破った場合、「A社がその行為の即時停止を求められる」としていた。

A社「合意に反する」と提訴

 2人は22年に退職後、別の…

この記事は有料記事です。残り1177文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
米田優人
東京社会部|東京地裁・高裁
専門・関心分野
司法、刑事政策、消費者問題、独禁法