坂本龍一展 生前の問いが原点 耳を開き体感、音楽を見て映像を聴く

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編集委員・大西若人
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 2023年に71歳で死去した音楽家の坂本龍一さんは、実験性豊かな楽曲やテクノポップ、大スケールの映画音楽の作り手として知られた。同時に、現代美術の造詣(ぞうけい)も深かった。生前に温めていた構想に基づく東京都現代美術館の「坂本龍一―音を視(み)る 時を聴く」展は、彼が抱いた世界を体感できる場になっている。

        

 「時間ってどう思いますか?」

 坂本さんは18年ごろ、今展でゲストキュレーターを務める難波祐子さんにこう尋ねたという。

 難波さんによれば、直線的に流れるという時間概念への懐疑や、時間は人間が作った存在ではないのかという考えからの問いだった。この対話が、時間芸術である音楽をどう展示し、展示の時間をどう考えるのか、という試みを秘めた今展の原点にあるという。

 例えば、最も広い部屋に展示…

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