隆起の現場で生き物の謎も調査、地震後の海と命を学ぶ能登の施設は

有料記事

小崎瑶太
[PR]

 大小の入り江が特徴的な九十九(つくも)湾のそばにある「のと海洋ふれあいセンター」(石川県能登町越坂)。浅瀬の生き物を間近で観察できて、能登半島一帯の生態系を研究する拠点でもある。海の形をも変えた能登半島地震後のことを知りたくて、足を運んだ。

 センターから間近な透明度の高い浅瀬では、海底の砂まで見える。飛び石と木材で海岸につくられた遊歩道「磯の観察路」(全長約800メートル)をめぐると、ヤドカリや海藻に手が届く。夏季のシュノーケリングでは、岩礁帯を好むスズメダイの群れを見ることもできる。水深約2メートルにはこの地で発見された「ツクモジュズサンゴ」も生息するという。

 そう教えてくれたのは、センターの普及課技師で生態系を研究する荒川裕亮さん(32)だ。月に1度の「ヤドカリ学級」(要申し込み)では、磯の観察路で生き物たちとの出会いを楽しみながら、職員が解説もしてくれるという。

 同センターのスタートは、1994年に県が調査研究などを目的に開館した「海の自然保護センター」。2004年には、シュノーケリングなど大人も子どもも楽しめる体験プログラムを提供する「海の自然体験館」を隣に開いた。両施設をあわせて「のと海洋ふれあいセンター」と呼ばれる。

 センターを統括する内平俊春館長(68)は「透明度の高い海の上を歩くような感覚で、小さな生き物ともふれあえる。専門家もいるので何でも聞ける。いろんな世代の方に楽しんでいただける施設でありたい」と語る。

 だが開館30周年にあたる2024年の元日に能登を大地震が襲った。建物に大きな被害はなかったが、今も遊歩道の一部が通行止めになっている。従来のように定期的にイベントを開けるようになったのは9月ごろのことだった。

 能登半島の海も一変した。荒…

この記事は有料記事です。残り606文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
小崎瑶太
金沢総局|県警担当
専門・関心分野
災害、事件、表現の自由
能登半島地震(2024年)

能登半島地震(2024年)

2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。地震をめぐる最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]