1966年生まれ。北海道大学法学部卒、同大学大学院法学研究科修士課程修了。ベルギー・カトリック・ルーヴァン大学大学院修士課程、オックスフォード大学博士課程修了。現在、欧州大学院大学特任教授も務める。専門は国際政治、EU、安全保障。著書に『欧州複合危機-苦悶するEU、揺れる世界』(中公新書)のほか、『統合の終焉―EUの実像と論理』(岩波書店)があり、読売・吉野作造賞を受賞。編著に『グローバル・ガバナンスの歴史と思想』(有斐閣)、『主権はいま』(筑摩書房)など。『シリーズ日本の安全保障』(岩波書店)の編者。朝日新聞論壇委員のほか、外務省政策評価委員などを歴任。
震源地はマリーヌ・ル・ペン氏。バルニエ政府はル・ペン氏が支配する国民連合の閣外からの黙認で成立する少数内閣。そのル・ペン氏に生殺与奪の権利があった。 彼女が秘書の給与の問題で次の大統領選に正式に出れなくなる事態に陥る前に攻勢に出たという
習近平氏は日本政府が世論を管理すべきと言う。そこに日中関係のネックがあるとでも言いたげである。どうだろうか。 まずもって政府が世論を管理するお国柄を日本に投射しているよくある誤謬がここにある。それは川口順子元外相が指摘した通りである。そ
衝撃の非常戒厳発令とその挫折。この国際関係への影響は甚大だろう。 日韓だけでは済まない。トランプ大統領の再登板は、半島を巡る力学を元々変える潜在力を持っている。今後、尹大統領の弾劾や辞任ということになり、野党が勢いを増して政権交代という
無念です。とうとう確認されてしまったということですね。それまで何も書けなかったのですが、多くの方がすでにあちこちで言われているように、猪口孝さんは朗らかな方で、あまり若手にえらそうな顔をせず、あちこちで笑顔で近づき声をかけ、研究会にも誘っ
この秋、ポーランドの知識人と話していた時、彼は二つのことを強調していた。NATOメンバーシップについて、さまざまなシミュレーションをした結果、それだけがウクライナとヨーロッパの安定をもたらすものだということ、加えて、アメリカだけが本当の意
董郁玉さんを、2014年前半北海道大学公共政策大学院教授として招聘しました。当時担当の副院長でした。 董さんは自由な批判精神に満ちた方ですが、反政府的な言動には臆病なほどに慎重でした。スパイなどもってのほか、という感じです。そもそも、日
国連は単独の主体として行為する以上に、加盟国の映し出す鏡のようなところがある。主要国のあいだの関係が荒れてしまうと、国連の場自体も荒れ、なかなか物事が前に進まなくなる。 では国連を改革して主体的に世界のための行動できるようにしようといっ
あまりに良く知られたエピソード。 プーチン氏はどこか底意地の悪いところがあり、首脳会談レベルでやる(べき)こと、やらない(やるべきでない)ことに関して、「うっかり」忘れるとか「知らなかった」ということはなかなか考えにくい。 むしろ相手
トランプ再登場をうけた中国側の認識を伝えてくれる記事。ようはどうなるか分からないで身構えている。それは中国のせいではない。 記事の末尾が、中国側に「日本との関係を、改善させようとする機運もある。日本に求められるのは、その契機を、国益と東
ウクライナを煉獄に置き続けた米民主党政権が終わり、今度は予想できないトランプ共和党政権になる。それは、取引Dealを原理にするのだから当然と言えば当然である。その意味で、先入観なく次期政権が何をするのかじっと観察するのは正しい態度だ。
御厨節炸裂(!)という感じで、ここまで劇的に書かれると、なんだか歴史的瞬間に立ち会っているようでワクワクします。けれど、まさに記事にも出てくるように、普通の疲れたおじさんが首相になり、伝道師が行動者になり損ねたままでそうなったというくだり
今年春に初めて訪れた人口250万ほどの国。貧しく小さいが複雑怪奇。体感的には、半数くらいはルーマニアと一緒になってもかまわない、EUに入れるし、位の構えか。4割くらいはロシア語話しているかなあ、あとウクライナ語をしゃべる人もいて、トランス
非常に興味深い記事だ。何を語ったかというより、何を語っていないか、という意味で。 ここで「本気」になるのは、イランのアラブ攻撃可能性を受けての話。その機会を掴んで、イランを全面攻撃するのを支援するか、イランにヒズボラ等への支援をやめさせ
オルガルヒによる寡占支配——盗賊国家化とまではいわないが、メディア支配と買収を通じたファシズムの匂いがする。 マスク氏は、X(旧ツイッター)といったプラットフォームやスターリンクのような基幹インフラを握り、それらを通じて盛んにフェークニ
続報を待っている。仏ル・モンド紙が伝えたところによると、ウクライナのNATO加盟問題で4首脳は割れたらしい。米バイデン大統領の欧州最後のお別れツアーで、彼は加盟招待へ舵を切ったが、反対されたということである。フランスは、どれほど熱心か不明
蔡英文前総統は民間人——忖度は不要、どしどし来日すればよいのではないだろうか。高い人気を保ったまま二期8年を務めおえた元首級です。さまざまな知見をお持ちかと思います。 かつて李登輝元総統が日本に来た際、立ち寄り先によっては、中国の顔色を
ウクライナのブダノフ国防相情報局長によると、11000人の北朝鮮兵がロシアで戦闘準備をしており、全体像は分からないとしつつ、最初の2600人がクルスクに投入されるとの見通しを示した。 この記事を読むと、それらが一気に前線に投入され、ウク
「一つの中国」は存在しない。(中国が押しつける)「原則」としても(米国その他が認知するような)「政策」としても——実のところ、今世紀になってから、日本政府は静かに、徐々にその言葉を口にしなくなった。近年の台湾絡みのG7共同声明を見てみると
今回のイスラエルの異常さの一つは、国連の組織や活動に対する尊重がかけらもないことだ。UNIFILは1978年の国連安保理決議425により結成された最古のPKOのひとつ。その決議により、「イスラエル軍の撤退を確認し、国際の平和と安全を回復し
日本被団協は、核被害のリアリズムを地道に説いてきた。評価されるべきだ。その危険を意識すればこそ、核へのエスカレーションを恐れるという行為が出てくる。しかし、それがウクライナを煉獄に置き続ける。 ロシアが核を使うのを封じ込めるため、バイデ