第6回米国へ幻想捨てた中国 迫る「第2次貿易戦争」薄氷の対話保てるか

有料記事トランプ再来 解説と展望

北京=斎藤徳彦
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 「米国が対中政策を変える可能性について、何ら幻想を抱いていない」

 中国の代表的な米国研究者の王緝思・北京大教授らは、大統領選を前に中国側の空気を外交誌でこう表現した。トランプ前大統領の1期目は、米中の「貿易戦争」と呼ばれた事態を引き起こした。中国封じ込めの戦略は、バイデン政権では同盟国を巻き込んでより強まった。その基調は変わりようがないという冷めた認識が、北京にはある。

 選挙のない大国・中国が今年、力を注いだのは、米中対立が長引くことを前提とした備えだ。

【連載】トランプ再来 解説と展望

米大統領選で共和党のドナルド・トランプ前大統領が返り咲きました。米国に、日本に、世界に、どんな影響をもたらすのか。海外特派員や編集委員が展望します。

 外交では、グローバルサウスを主導する存在としての動きが目立つ。アフリカやアジアの国々の元首を招いた会議や会談を繰り返した。習近平(シーチンピン)国家主席が重視する新興国グループ「BRICS」も拡大路線がすすむ。

 中東の紛争やロシアによるウクライナ侵略には「平和的解決」を訴える。実現性には疑問符がつくものの、米国がイスラエルに肩入れして評価を落とす中だけに、「中国の言うことにうなずく国は少なくない」と北京の外交筋は見る。

現実となった厳しいシナリオ、うかがう機会は

 内政では、アキレス腱(けん…

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この記事を書いた人
斎藤徳彦
中国総局長
専門・関心分野
国際経済、中国の経済・政治
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    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2024年11月14日13時13分 投稿
    【視点】

     トランプ再登場をうけた中国側の認識を伝えてくれる記事。ようはどうなるか分からないで身構えている。それは中国のせいではない。  記事の末尾が、中国側に「日本との関係を、改善させようとする機運もある。日本に求められるのは、その契機を、国益と東

    …続きを読む