2022年12月の生物多様性条約締約国会議において採択された「昆明・モントリオール宣言」における2030年ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現に向けて、企業が自社の事業活動が環境におよぼす影響や、依存度に関して情報開示を求める動きが加速しています。生物多様性の問題は、気候変動とともに社会的に解決しなくてはならない重要事項になっています。
ファミリーマートは、地域社会とともに歩むわたしたちの事業活動が、様々な自然の恵みである「生物多様性」に支えられていると同時に影響を与えており、「生物多様性」の損失が世界的な問題であることを認識しています。
これまでも、環境の中長期目標「ファミマecoビジョン2050」に基づき、店舗での省エネ機器の積極的な導入など気候変動に影響を与えるCO₂排出量を削減するための各種取り組みや、海洋汚染や生態系へ悪影響を与えるプラスチックごみの発生抑制、容器原材料の環境配慮型素材への切り替え、規格外食材を活用した商品開発による食品ロスの削減など、生物多様性の保全につながる様々な取り組みを積極的に行ってきました。
今後も、これらの取り組みをより一層推進するとともに、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の開示対応など各種取り組みを通じて、「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現に向けた取り組みを進めていきます。
ファミリーマートは、自然資本や生物多様性などに関する、企業のリスク管理と開示の枠組みを構築するための国際組織「自然関連財務情報開示タスクフォース(以下、TNFD)」の理念に賛同しています。2023年7月にはTNFDの活動をサポートする企業・団体などで構成されるネットワーク「TNFDフォーラム」に参画し、当社の生物多様性保全方針を国際的な条約などを踏まえた内容に改定しました。
新たな方針では、持続可能な生産の後押しや、ステークホルダーとの協働などの項目を追加したほか、「生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せること」を意味するネイチャーポジティブ(自然再興)に向けた取り組みを推進することを表明しています。また、優先的に取り組む項目としてもオリジナル商品の原材料調達を掲げています。
こうしたことを背景に、ファミリーマートでは現在、2023年9月のTNFD最終提言に沿って、自然への負荷が高い原材料を参考に、当社オリジナル商品の自然関連課題について優先的に開示の準備を進めています。
このたび、オリジナル商品のうち、カウンターコーヒー「FAMIMA CAFÉ モカブレンド」で使用するコーヒー豆についての開示報告がまとまりましたのでご案内します。
①今回の調査・分析の対象
・「ファミマカフェ」のモカブレンドで使用している「エチオピア イルガチェフェ産のコーヒー豆の生産」です。
②調査・分析の結果のポイント
・上記コーヒー豆の産地では、生物多様性の観点から、水・土壌への依存、コーヒー豆の生産や農地転換による森林減少などが、土壌・水・陸上生態系へのインパクトを与えることを確認しました。
・上記産地では、元の森林を活かした農園となっていることに加え、シェードツリーを植え、ナチュラル精選により水使用を減らし、不要なコーヒー果実部分を肥料に再利用するといった「伝統農法」が行われていることを確認しました。
・収量拡大に向けて、新たに森を農地開拓するのではなく、枝の選定を行うことにより既存の農地を活かすといった「農事指導」を現地の輸出会社が行っています。
③今後について
・上記コーヒー豆の持続的な調達を行うためにも、「伝統農法」の継続などの「農事指導」の対応を輸出会社を通じて行っていく予定です。
・今後も当社のオリジナル商品の原材料に関する調査・分析を継続して行い、生物多様性の保全、ネイチャーボジティプに向けた取り組みを推進していきます。