君はこの芸人を知っているだろうか?「頭上に魚をつけて魚をテーマに活動する」という、“あの某タレント兼大学准教授”とモロ被りのイバラの道を歩んでいるこの芸人を……。そして「自分で釣った魚以外食べない」などという、某伝説達成テレビ番組も真っ青な超過酷な挑戦に、自主的に、というか勝手に取り組んでいることを。
男の名はさかな芸人『ハットリ』27歳
早稲田大学在学中、劇団ひとり・バカリズムの様な才気溢れる一人芸に憧れセンス系芸人を志すも、学内でのネタ披露では安定の“ゼロ笑い”。しかし、ある時にダイビングサークルの余興でやった魚を使った替え歌が“ややウケ”した時の喜びが彼の人生を大きく変えることに。
「オ、オレにはSAKANAしかないんです…(涙)」
これを機に、当初の憧れとはほど遠い“魚キャラ芸人”として活動を始めたハットリは、釣り好きも高じて2014年に難関とされる「日本さかな検定1級」に合格。
そしてさらには、魚キャラの大大パイセンである“あの某タレント兼大学准教授”(以降:Sクンさん)にひょんな事から対面する機会も!
その時の感想は……
「芸人ではなく、Sクンさんに弟子入りしたい!」
もはや“笑い”より“魚”への愛が深まってしまった男が、憧れのSクンさんの“さかな愛”に少しでも近づく為に行った『過酷な魚企画挑戦記』を以下で紹介したい。
※この記事では、当時ハットリが実際にスマホで撮った写真を掲載しています。粗いものもありますが、ハットリの挑戦をリアルに感じてください!
挑戦① 1ヶ月間、自分で釣って調理した魚しか食べない
挑戦の舞台に選んだのは、Sクンさんの地元・千葉県館山市。
2014年1月1日。日付が変わり年が明けた瞬間から、この挑戦は始まった。
(ここだけの話、長い挑戦で魚が嫌いになってしまう不安からか、直前の1週間はカップラーメンばかりを食べたらしい。もちろんシーフード味以外)
暗い中、まず最初に釣ったのは……
『オオスジイシモチ』
全長は3cm程で煮付けにしてそのまま一口で食べてしまった。小さすぎて味はよく覚えていない。
そして夜が明け、初日の出を迎えた瞬間にこう思った。
「このまま毎日こんな調子で生きていけるのか?」
「ってか、それ以前にこれから毎晩どこで寝るんだ!?」
そこで、得意のさかな替え歌ネタを路上で披露するなどし、なんとか地元民と仲良くなることを企む。結果として家に泊めてもらったり、釣れるポイントを教えてもらったりと環境の改善に成功。そんな中、釣れたのは……
『カサゴ』
釣りの対象魚としては一般的。煮付けて食した。白身にしっかりと味が染みていて美味な魚である。
さらに、
早春の風物詩『サヨリ』
これは塩焼きで。さっぱりして緻密な肉質で美味。
そんでもって
ジャーン!!! 高級魚『アマダイ』
ネタを気に入ってくれた地元の方が船を持っているということで、ちゃっかり乗せてもらったところで釣り上げた大物。京料理には欠かせない食材として料亭などで扱われている高級魚で、その柔らかい肉質はこの企画中に釣れた魚で最も美味であった。
そしてこんなのも。
『アメフラシ』
地元の人の「食用ではない」という静止を振り切り、食べようとしてさばくと…
ムラサキ色の液体が… (周りはドン引き)
塩ゆでにして食べた。感想は、相当盛って「つぶ貝を柔らかくしたような味」。(※本当の感想は写真の表情からお察し下さい)
走り出したらとまらない。
海のギャング『ウツボ』
見た目はとても食べれそうにないが、
アナゴやウナギと同じく、しっかり「目打ち」「背開き」をしてから食すと…
皮に旨味があり、食感は鮭の皮がより弾力性を増した様なモチモチ感がある。白身の部分は上品で美味。
「釣った魚だけで生きていく企画」が、ついに1カ月が経過した2月1日、地元の方々が達成記念で作ってくれたおにぎりを頂いた。
中身は……『シャケ』!
「本当は牛カルビがよかったなぁ…」なんてワガママは言っていない。
挑戦② 築地市場でオヒネリとしてもらった魚だけで1ヶ月過ごす
月日は流れ、1年後の2015年1月1日。
今回は、釣った魚ではなく、魚の替え歌ネタを披露して貰ったオヒネリだけで生活する挑戦。もちろん貰えるオヒネリは、お金ではなく魚である。
東京最大の魚市場・築地で、魚の替え歌ネタを披露すれば、瞬く間に『ハットリ』の名が魚業界に広まるはず。そうしたらまた“あの方”の耳にも。そんな腹黒な魂胆もあり、挑戦を始めたものの……
市場の屈強な男達にビビり、やや端っこでネタをやることに。(※ガチで怖くてあんちゃん達の写真は撮れませんでした)
ビビった結果、優しそうな観光客に「おもしろかったら僕に魚を買って下さい!」とネタを見てもらう → 魚屋さんへ誘導して魚を買ってもらう → 魚屋さんに「毎度!」と言われる。そんな挑戦規約スレスレの勝利の方程式を発明。
買っていただいたのは……
『ナマコ』!
『タチウオ』!!
『ホタテ』!!!
『アンコウ』などなど。
特に「毎度」と言われまくったお店・網代定置網さんからのご好意で頂いたのは…
『サメ』!
店員さんによると「サメは見た目のインパクトがありよく飾り的な意味で販売をしているが、実際に買う人は少ないから安い(300円代)」とのこと。
解体してムニエルにしたら鶏肉に近い食感。筋肉質な感じながらも意外に柔らかくて美味しかった。
そんなこんなで何とか1ヶ月を乗り切った。ちなみに前回の挑戦と比べると、こちらの方が楽だった。
なぜなら…
「釣りには釣れない日があるけれど、築地に魚が入荷してない日はない」 いぶを。
(本名:服部伊吹(いぶき))
挑戦③20種類達成するまで自分で釣った淡水魚以外食べない!
さかな芸人ハットリは、日焼けした肌や顔の海坊主感から“海っぽいキャラクター感”を全面に押し出しているが、思えば最初に釣りを覚えたのは父親に勧められて始めた川釣りだった。
そこで、挑戦第3弾では、舞台を都内の池や山梨の山奥に移して原点回帰。
川や池にいる『淡水魚』のみに限定した川釣りチャレンジ企画!淡水魚20種類を達成するまで、釣った淡水魚のみで生きていくというもの。
記念すべきゲット1匹目は
埼玉の浮間公園で釣れた『ヌマチチブ』(釣り人が言うところのダボハゼ)。
同じ日に釣れた
『ブルーギル』
あまり食用にされないらしいが、貴重な食料なので……ヌマチチブは天ぷらに、ブルーギルはフライに。
ヌマチチブは実が少なく、強いて言うなら天ぷらの衣の味。ギルはくせのない白身で、意外にも「いわゆる白身魚の味」だった。
次は荒川で釣った
『ウナギ』
意外に都会でも釣れることが判明した。
「これはごちそうだ! 早速さばいて蒲焼きに!」
タレの味が最初に来た後に、ジュワっと広がる脂の旨み……
至福。
そして最後に残るのは……
荒川の匂い(ドブっぽい)
後日調べによると、ウナギやコイは綺麗な水で泥抜きが1週間ほど必要なのだが…食料がなかったのでその日のうちに食べてしまった。(※荒川関係者の皆様、悪いのは荒川の水質ではなくハットリでした、申し訳ありません)
都内の某池で釣れたものの中にはこんな魚も。
『金魚』!
名前に「金」が付く赤い魚は「キンメダイ」や「キンキ」など、どちらも煮付けで有名な高級魚。そんなワケで煮付けにしてみたところ……
めっちゃ美味そう!!!
気になる結果は
…
……
………!!!
オススメはしない(ベチャベチャしてて水っぽい)
そんなこんなで過ぎること26日。釣った魚も19種類に到達した。
(内訳:ヌマチチブ、ブルーギル、ウナギ、タモロコ、キンギョ、アブラハヤ、ヤマメ、ウグイ、タカハヤ、オオクチバス、イワナ、ニジマス、オオタナゴ、ギンブナ、ワタカ、アメリカナマズ、コイ、カワムツ、モツゴ)
目標まで残すところ、あと1種類。
企画を締めるつもりで最後の遠征にやって来た場所は…
ここは5年前、我らが偉大なるSクンさんがきっかけとなり絶滅したはずの伝説の魚『クニマス』の生息が確認された“奇跡の湖”!
「できることなら、この場所で企画を締めたい…」
ただ、クニマスなんて狙って釣れないだろうし、食べたりでもしたら、さかな芸人として今後シャレにならないくらい大変な事になる。
……と、いうことで狙うのは『ヒメマス』に。
(クニマスとごくごく近い魚で見た目はほぼ一緒、解剖しないとわからないぐらいとのこと。ちゃんと釣りも解禁されており、時期によってはたくさんの釣り人が西湖にヒメマスを釣りにきます。)
さっそく竿を3本だして、サビキにイクラという仕掛けでスタート。すると、30分ほどすると当たりが!
引き上げると
…
……
………!!!
キタァァァーーーーーッ! 『ヒメマス』!!!
マス類特有の洗練された体型!キラキラと光を反射する体表!まさに企画の締めにふさわしい淡水魚ではないか。
数匹釣れたのでムニエルに!
うん、美味しい。すごく美味しい。やっぱり美味しい。
そして企画達成記念に……
サニーレタスも!!!
レタスうめええええええええええ!
釣れる魚も小さいモノばかりだったり、自分の足で探した良さげな場所が釣り禁止だったり、いろいろあったものの、当初はムチャに思われた企画第3弾もこれにて無事終了。
そして次なる挑戦がこれ。
「100種類達成するまで、東京湾にて自分で釣った調理した魚以外食べない」
まだまだ懲りないハットリは、9月よりこんな無謀な企画に挑戦中。 その様子は次回で!
写真は、挑戦前夜に食べたスタミナ丼。これが一番美味しそうな写真となっていない事を切に願う……。