2024/12/29
『イクサガミ 人』(今村翔吾:著/講談社文庫)を読んだ。
まずは出版社の紹介文を引く。
東海道を舞台にした「蠱毒」も、残り二十三人。人外の強さを誇る侍たちが島田宿で一堂に会した。血飛沫の舞う戦場に神と崇められる「台湾の伝説」が現れ、乱戦はさらに加速する―!数多の強敵を薙ぎ倒し、ついに東京へ辿り着いた愁二郎と双葉を待ち受ける運命とは。疾風怒涛の第三巻!
全四巻とされるシリーズ第三巻である。いよいよ物語が佳境に入ってきた。著者が「ただただ面白く、大衆小説の王道を行く」と仰るとおり、息もつかせぬ戦いの場面の連続をただただ楽しんだ。これは小説より劇画や映画向きだなと思ったら、すでにコミカライズされており、実写版も撮影中とのこと。やはりといった感がある。
特に終盤部の「玖の章 狼の詩」が良かった。『羽州ぼろ鳶組』シリーズもそうであったが、魅力あふれる登場人物たちが、お互いを信じ合い連携して絶望的状況に立ち向かうところは文字どおり血湧き肉躍る。今村氏の筆力に感服した。