赤生津・安部氏の出自を尋ねて

外史による新たな前九年合戦(1051年)伝説発掘と、白鳥舘の安倍頼時七男「比与鳥七郎」。さらに阿弖流為時代にさかのぼり、祖先安倍高丸を追う

侵略戦争はいつの時代もあるものか、戦争に倫理観などない、ただ、犠牲者に人道的な施しだけは必要では。天台宗の法華経を広げた安倍氏

侵略戦争はいつの時代もあるものか、戦争に倫理観などない、ただ、犠牲者に人道的な施しだけは必要では。天台宗法華経を広げた安倍氏

 

安倍氏の功績は、

胆沢ダム(現)に天台宗僧寺と荘園のため胆沢川から水路を引き、農業を広げ胆沢平野の原型を整えた。

北上山地の金山を開拓し、その財源で、阿弖流為・モレ時代の戦死者を弔う多くの観音などの仏像を管理した。

法華経を民間に浸透させるため、現北上市に官寺「極楽寺」を立て、自ら指導者となった。

奥州藤原氏の祖であり、戦死者を弔うための金色堂建立につながった。

 

阿弖流為モレの時代から金山をめぐり朝廷による侵略戦争があった。多くの犠牲者が生まれた。200年後には、前九年合戦を迎えるが、これも同じ侵略戦争である。侵略とは鉱山資源をめぐっての争いである。現地人は奪われる理由がわからない。朝廷側は新たな資源を欲しているが、思うようにならない。「まつろわぬ民」は成敗の対象となった。その後も1590年の豊臣秀吉の奥州仕置きも同じ理由である。

天下統一のため戦はいたしかたないかもしれない。しかし、人道的な生き方は、いつの世も絶対に必要である。天台宗を広げた安倍氏は、こう願ったと思う。

犯してはならないルールがある。

阿弖流為モレが官軍に倒されたときは、官軍が民族間に争いを持ち掛けた。地位や名誉、権力と引き換えに、身内同然の阿弖流為を倒してほしいという。

前九年合戦でも同じように、源氏は、安倍氏の親戚である清原氏に、地位や権力と引き換えに、安倍氏を倒してほしいと交渉した。

戦はもともと倫理観などないものであるが、身内を身内で殺しあうという行為は、一族の子孫に怨恨を残しつづけるのである。さらに政略結婚で敵同士を親戚としても、怨恨は、子孫に残りつづける。やがて、民族間で争い、消滅するまでやまない。

何が間違っているか、何が正しいか、地位や権力だけを追い続けると、わからなくなる。

安倍氏法華経を信仰している。法華経には、人として大事な生き方を教えてくれる。

法華経には八正道という素晴らしい教えがある。

両舌(両方の人にそれぞれ相反することを言って仲違いさせる言葉、二枚舌)

これは、人が行っていけない教えである。前九年合戦からこれを学ぶべきではないか。

 

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八正道とは、理想の境地に達するための八つの道、すなわち次のような八種の正しい生活態度のことです。

【1】正見(しょうけん)正しい見解。自己中心的な見方や、偏った見方をせず、正しい物の見方を心がけること。

【2】正思惟(しょうしゆい)正しい決意。自己中心的な考えを捨て、貪瞋痴の三毒に惑わされず正しく考えること。

【3】正語(しょうご)正しい言葉。妄語(嘘)、綺語(無駄話)、両舌(両方の人にそれぞれ相反することを言って仲違いさせる言葉、二枚舌)、悪口(あっく)(粗暴な言葉を使う、人をあしざまにののしること)をせず、正しい言葉使いを心がけること。

【4】正業(しょうぎょう)正しい行い。貪瞋痴の三毒を離れ、正しい行いをすること。

【5】正命(しょうみょう)正しい生活。世の中の為にならないことや、人の迷惑になることをせず、収入を得て、規則正しい健全な生活を送ること。

【6】正精進(しょうしょうじん)正しい努力。正しく励み、努力をすること。

【7】正念(しょうねん)雑念をはらった心の安定した状態。物事の現象にとらわれないで常に真理を求める心を忘れないこと。

【8】正定(しょうじょう)精神を統一して心を安定させること。心の動揺をはらって、安定した迷いのない境地に入ること。

出典:天台宗

天台宗 > 天台宗について > 法話集 > 四諦・八正道(したい・はっしょうどう) (tendai.or.jp)

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