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広島・長崎原爆

1945年8月、広島・長崎へ原爆が投下されました。体験者が高齢化するなか、継承が課題になっています。

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人類はばかじゃない 山川剛さん「子供たちに希望語りたい」

被爆体験の継承について語る山川剛さん=長崎市で2022年5月9日午後0時24分、長岡健太郎撮影
被爆体験の継承について語る山川剛さん=長崎市で2022年5月9日午後0時24分、長岡健太郎撮影

 長崎市の被爆者、山川剛(たけし)さん(85)は毎朝5時に新聞を広げ、最初に「お悔やみ」欄を見るのが日課になった。自分よりも年上と年下の亡くなった人をそれぞれ数えると、自分の年齢がだいたい真ん中だと気が付く。「もう、お迎えの適齢期だ」。そう意識するからこそ、次代に思いを託したい。

 「どんな政治家でも一番気にしているのは世論だ。平和をつくり出すために市民一人一人が声を上げ続けなければいけない」。4月20日、長崎大の「平和講座」の教壇に立ち、約150人の学生に語気を強めた。ウクライナの惨状を伝えるテレビから響く空襲警報のサイレンを聞くと、8歳だった自分が真っ暗な防空壕(ごう)で震えていた記憶を思い起こす。「こんな状況が77年後の今も実際に起きていることが信じられない」

 被爆講話では「これからの平和教育では希望を語っていきたい」と話す。小学校の教壇に立った自らの36年間を振り返り、「私の平和教育は暗かった」と自省するからだ。「子供たちを絶望させて話し終わっていいのか。『人類はそこまでばかじゃないよ』って、希望を提示することが必要じゃないか」

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