石段、山道…車が通れない「幻の県道」 行き先はあの世界遺産
まだまだ勝手に関西遺産
国道や県道は交通量の多い幹線道路と思いきや、車が通れない県道が大津市にある。石段や山道が世界遺産に続くのだ。
「車が通れない石段が県道?」
大津市の日吉大社を取材した時、神職から聞いて耳を疑った。石段は境内の鳥居のすぐ外にある。
後日、滋賀県庁に問い合わせた。
「え? 調べてみます」
折り返し、電話がかかってきた。
「本当に、県道です」
聞くと、正式名は滋賀県道316号比叡山線。全長4・7キロ。そのまま進むと、山の上にある世界遺産の延暦寺に通じるようだ。
担当者も知らない「幻の県道」
県道といえば、国道に次ぐ幹線のイメージがある。でも、担当者も知らなかったので「幻の県道」と勝手に呼ぼう。地元のびわ湖大津観光協会の坪田朋也さん(36)と車で一緒に訪ねてみた。
出発は道の東端、琵琶湖西岸を走る県道との交差点だ。この辺りは普通の舗装道路。西へ進み、日吉大社の鳥居近くで左にカーブする。
あれ? 道路標識は、いつの間にか「県道47号」に変わっている。
実は、この付近は二つの県道の重複区間。正面に石段があるが、石垣でふさがれている。でも、幻の県道はこっちのはず。
車を降り、半信半疑で石垣の向こうの石段へ。230段余りを歩いて登り切った時、坪田さんの声が弾んだ。
「石段の柱(標柱)に『県道比叡山線』って書いてあります!」
やはりここは県道だった…