ひきこもりだった私を、古本屋が救ってくれた 24年通って閉店の日

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田渕紫織
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 「えっ!」。奈良市の古本屋のレジで今年1月、金子紅(くれない)さん(48)は思わず声を上げた。

 貼り紙に、来月閉店します、とある。

 職場から商店街を歩いて5分。自分の部屋のような店だったのに……。

「思い詰めていました」

 受験競争で燃え尽きて入った大学は、めざす学部だったわけでもなく、ズルズルと卒業した。

 初めてこの店を知ったのは、就職も進路も決まらずに苦しかった24歳のころ。外出に引け目を感じ、高校の友人から電話がかかってきても出られない。

 早く社会に出なければと思う…

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この記事を書いた人
田渕紫織
東京社会部|災害担当
専門・関心分野
災害復興、子ども