民主化デモから4年「香港はまだ戦っている」 渋谷で150人訴え
2019年に香港で市民の大規模デモが起きてから4年が経つのを機に、在日香港人らが11日夕、東京都渋谷区で中国の民主化を訴えるデモ行進をした。民主派のシンボルカラーだった黄色のマスクを身につけた約150人が「香港に自由を」と声をあげ、約1時間にわたって渋谷の街を歩いた。
デモは在日香港人の団体「Stand with HK@JPN」などが主催した。中心メンバーのウィリアム・リーさん(29)は声明で、「香港の問題は日本にも関係します。香港の人権弾圧の状況も日本で反映されます」と訴えた。
香港では19年6月9日から、香港人であっても事件の容疑者を中国本土に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正案に反対するデモが起き、一時は人口の4人に1人にあたる200万人が参加したとされる。
これに危機感を覚えた中国政府は20年6月末、反中国的な言動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)を施行。香港外や、外国人であっても処罰対象になることも明記された。今年3月には、日本に留学中の香港人の女子学生が帰郷した際、ネット上に香港独立に関する投稿をしたことが同法に抵触するとして、逮捕された。
この日のデモでは、19年のデモを機に作られた歌「香港に栄光あれ」を参加者らで歌った。国安法の施行以降、香港では公の場で歌えなくなっている。香港の留学生の女性(23)は「久しぶりにこの歌が聞けて感動しました。泣きそうになった」と語った。
ウィリアムさんは、「日本でも、安心してデモに参加できるとは言えない状況になってきた。それでも、『脅しは怖くない』と集まることによって、さらに団結できた」と話した。
来日した香港人も 「弾圧忘れないで」
参加者の中には、デモに加わるために来日した香港人もいた。
香港在住の男性(50)は国安法が施行されてから、政治を批判するような話は本当に仲のいい友人としかできなくなった。声をあげられる場所を求めて、来日を決意した。
男性は今回のデモの様子をSNSにアップしており、国安法に触れているという意識はあるという。「自分がヒーローになりたいわけではない。でも誰も(抗議活動を)やらないと、みんな弾圧されたことを忘れてしまう」
一方で、国安法を気にする参加者もいた。
20代の香港の留学生の女性はフードを目深にかぶり、マスクで顔を隠していた。夏休みに帰郷する予定があり、スマホで撮影したデモの写真などは事前に消去するつもりという。それでもデモに参加するのは、「日本の人に、まだ香港は戦っていることを伝えたいからです」と語った。
女性は香港で14年の民主化運動「雨傘革命」や19年のデモにも参加し、催涙弾の被害にあった。危険な目にあっても参加することについては、「香港は自分の家です。自分の家を守りたいという気持ちです」と話した。
- 【視点】
6月4日は天安門事件から34年のデモが行われ、11日には香港民主派のデモが行われる形となりました。中国本土および香港の方々が国内で声を上げられず、海外で何とか声を繋いでいこうと必死に動いていらっしゃることが分かります。 150人のデモ
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