第6回「未完でいい、成長できる人を宝塚に」 音楽学校長が求める生徒像は
【連載】すみれの花はぐくんで 宝塚音楽学校110年
タカラジェンヌの卵たちが鍛錬に励む宝塚音楽学校。中西達也校長(61)は一昨年、就任した。宝塚歌劇団制作部長や阪急電鉄広報部長を経て、重責を担う今、どう生徒たちを育てようとしているのか。創立110周年を迎え、考えを聞いた。
――まずは宝塚音楽学校ではどんなことを教えているのですか。
生徒たちは宝塚歌劇団(阪急電鉄が運営)の舞台に立ちたいという思いで入学してきますので、目標は同じです。その舞台に立つための芸事、技能の基礎を予科、本科の2年間で身につけます。声楽、バレエ、モダンダンス、日本舞踊、タップや演劇などです。それに舞台に立つ心構え、心得ですね。舞台はみんなでつくる。集団で行動するため、あいさつや礼儀、規律を学び、人間的な面も身につけていきます。
月曜から土曜まで、基本的に1~5限の90分授業です。そして音楽会などの実践的な行事を経験してさらに成長していく。基礎を身につけていれば、歌劇団で伸ばせる。とにかく「基礎、基礎」と言っています。歌劇団に入っても「生徒」で、退団するまで学び続けるわけですから、歌劇団でも成長できる土台ができたらなあと思います。
――「清く正しく美しく」という理念を掲げています。具体的には?
「品格」だと思います。ふだんの行動、ふるまい、マナーをつねに心がけることで品格が身につく。
春日野八千代先生(象徴的な男役大スターで「白薔薇(ばら)のプリンス」と呼ばれ、2012年に亡くなるまで在団。名誉理事)が歌劇95周年のイベントのトークで、後輩への言葉として「品格、舞台上の行儀良さ、謙虚さ」の三つを大事にすべきだとおっしゃった。私もその場で聞いていました。
歌やダンスがすごくうまい、演技がすごくできるだけではなく、品格をもっていることが大事。1組約80人が協力して舞台をやるわけです。技術だけでなく品格も身につけている、それが宝塚の生徒に必要なことだと、春日野先生はおっしゃったんだと思います。
1次試験の面接 しっかり発声できているか
――どんな生徒を求めているのですか。
技術的なものがあればいいと…