いまは生徒の6割が外国ルーツ 夜間中学が担う「移民教育」の現在地

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岡田玄
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 各地で夜間中学の設立準備が進んでいる。すでに通う生徒の中には、日本語を学びたいと通う外国ルーツの生徒も少なくない。なぜ、日本語学校ではなく夜間中学なのか。

 静岡県磐田市のJR磐田駅前のビルに今年4月、静岡県で初めての公立夜間中学となる県立ふじのくに中学校が開校した。新しい電子黒板を前に、一つの教室では数学を、もう一つの教室では日本語の授業が進んでいた。授業を受けていた計6人のうち5人は外国にルーツを持つ生徒だった。

 夜間中学は様々な事情で中学校に通えなかった人が教科を改めて学ぶ場だ。国語や数学だけでなく、美術や保健体育なども学ぶ。戦後の混乱期は、主に生活が苦しく学校に通えなかった人たちの学びの場だったが、2016年に成立した教育機会確保法で、学び直しの保証が国や地方自治体の責務とされ、国は各都道府県と政令指定都市に夜間中学の設置を求めた。だが、学び直しを必要としているのは日本人だけではない。

文科省調査で外国籍が6割

 文部科学省が2020年に調…

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この記事を書いた人
岡田玄
東京社会部
専門・関心分野
中南米、沖縄、移民、民主主義、脱植民地主義
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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2023年9月9日22時58分 投稿
    【視点】

    この記事にあるように、日本語を学べないまま日本で暮らしている方もいる。そんな事情も含むさまざまな事情で中学校を卒業していない方や実質的に十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方に、中学校夜間学級(いわゆる夜間中学)の存在やそこで学ぶた

    …続きを読む