最高裁、4年で判断見直し「違憲」 性別変更めぐる社会変化など重視
トランスジェンダーを取り巻く状況が、大きく動いた。性別変更をめぐる「性同一性障害特例法」について最高裁大法廷は25日、手術要件の一部を「憲法違反」と判断。手術なしで「自分の性別」を生きる道が広がった一方、新たな「格差」の懸念も生じた。
最高裁は2019年、別の申立人が求めた性別変更について、第二小法廷で4人の裁判官が審理した結果、生殖不能要件を「合憲」とした。生殖能力を失わせる手術が「意思に反して身体への侵襲を受けない自由を制約する面もある」「憲法適合性は不断の検討を要する」と留保をつけたものの、合憲の結論自体は、全員一致していた。
それから4年。今回は裁判官15人全員による大法廷で検討し、「全員一致の違憲」に転じた。
精巣・卵巣の摘出を求める生殖不能要件は、変更前の性別の生殖機能で子どもが生まれ、親子関係が混乱したり、社会が急激に変化したりするのを防ぐ目的で設けられた経緯がある。
大法廷はまず、トランスジェンダーは出生時の性別による身体的特徴に不快感を感じ、出生時の生殖機能で子どもをつくることに抵抗感を持つ人が少なくないと指摘。要件がなくても、立法目的の懸念が生じることは「極めてまれ」とした。
その上で重視したのは、04年の特例法施行以降の社会の変化だった。
08年の特例法改正で、性別…
- 【視点】
近年の最高裁は、地味ながらも様々な技術を駆使して違憲審査を前進させています。この記事にあるように、今回の決定で問題となった論点については、2019年に「現時点では」違憲とはいえないという異例の判断がされています(最高裁2019年1月23日第
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