BBC記者が感じた日本の記者たちの後悔 ジャニーズ性加害問題
旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.)の性加害問題をめぐり、日本メディア学会が15日、性加害問題とメディアの責任をテーマにした研究会を東京大で開催した。性加害問題の取材にあたった英公共放送BBCのモビーン・アザー記者がオンラインで参加し、研究者らと意見を交わした。
問題をめぐっては、1999~00年ごろに週刊文春がキャンペーン報道を展開し、被害者の証言などを詳しく報じたが、新聞やテレビで大きく取り上げられることはなかった。そんな中、今年3月にBBCが「J―POPの捕食者 秘められたスキャンダル」と題して、ドキュメンタリーを放映。その後、被害者が実名で声を上げ、事務所は性加害の事実を認めた。
今回の研究会は、メディアの対応や今後の改善点などを考えることを目的に、メディアやジャーナリズムの研究者らでつくる日本メディア学会の国際委員会が企画した。オンラインも含めて、研究者やメディア関係者、学生ら計約150人が参加した。
アザー記者は、日本社会について「礼儀正しくあることやその場を乱さないことを重視する社会」だとし、何かおかしいと思ったことがあっても声を上げない要因につながっていると指摘。「記者たちも『自己検閲』をしたことで、口をつぐんでしまうことになった」と語った。また事務所が、タレント起用などでメディアに圧力をかけられる構造にあったことも理由に挙げた。
ドキュメンタリーの放映後…
- 【視点】
私は3月30日に『朝日新聞GLOBE+』に「ジャニーズ事務所のメディアコントロール手法 『沈黙の螺旋』は破られるのか」という記事を寄せました。3月上旬にBBCの報道があってから間もない頃で、ほとんどのメディアはまだ沈黙を続けていました。
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