第6回「喜一、助けてほしい」 米大統領選の92年、首脳会談でブッシュ氏

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長崎潤一郎
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 米大統領選を秋に控えた1992年1月、経済低迷と対日貿易赤字に悩む中で来日したブッシュ(父)米大統領が、宮沢喜一首相に「助けてほしい」と求めていた。外務省が先月、作成から30年が過ぎたことで秘密指定を解いて公開した文書に、生々しいやり取りが記されていた。

 「喜一、是非申し上げたいことは、自分が本国で大変な圧力に直面していることだ」。92年1月8日、東京・元赤坂の迎賓館で開かれた少人数での首脳会談でブッシュ氏は語りかけた。

 当時、世界第2の経済大国だった日本の国内総生産(GDP)は米国の6割で、今の米中関係に近い。貿易摩擦が長引く一方、冷戦終結直後に起きた米国主導の湾岸戦争で日本の貢献は後手に回り、同盟関係が揺らいでいた。

 「極秘」の会談録によると、ブッシュ氏は「是非自分を助けて欲しい。保護主義を倒すためだ。米議会ではゲッパート法案を自動車労組が推し、ブキャナンはアメリカ・ファースト(米国第一主義)を提唱している」と強調。米国で日本車販売を規制する法案や、大統領選の共和党予備選での対抗馬に触れた上で、日本市場のさらなる開放を要求した。「自分が求めているのは最善の数字」とし、「今回の旅行(訪日)で失敗すれば保護主義を防圧できなくなる」と訴えた。

 別の「極秘」文書によれば…

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この記事を書いた人
長崎潤一郎
経済部|首相官邸担当
専門・関心分野
エネルギー政策、税制