「私は派閥やめませんから」 首相に告げた麻生氏、三派連合の終焉
岸田文雄首相が宣言した「岸田派解散」で、自民党が激しく揺れ動く。首相を一貫して支えてきた麻生太郎副総裁は派閥を守ると首相に伝え、裏金作りの舞台となった最大派閥の安倍派や、二階派は解散に追い込まれた。一方、派閥流動化の引き金となった裏金問題は、なお闇に包まれている。
岸田派の解散検討を表明した後の18日夜、首相の携帯電話がなった。表示されていたのは、麻生氏の名前だった。
「私は派閥をやめませんから」。この電話で初めて首相から「岸田派解散」の意向を聞いた麻生氏は、自らの派閥は存続させる考えを伝えた。「茂木もやめないと思いますよ」。そう語って電話を切った麻生氏は、その茂木敏充幹事長に電話をかけた。
「岸田派の解散を聞いていたか」と問うた麻生氏に、茂木氏は「知りませんでした」。茂木氏も、自ら率いる茂木派の解散を考えてはいなかった。「お互い、これから矢面に立つことになるな」。麻生氏は茂木氏に、そう語りかけた。
この夜をもって、第4派閥の岸田派、第2、第3派閥の麻生、茂木両派が組んで政権を安定させる、政権当初から続いてきた「三派連合」は終焉(しゅうえん)を迎えた。
政権運営の土台を完全に変質させるリスクを冒して、首相はなぜ「解散宣言」に走ったのか。
首相は17日、自らに近い議員に「派閥のパーティー禁止」「閣僚や党役員就任時の派閥脱退」といった改革案を伝えていた。派閥解散も選択肢にはあったが、周辺に伝えていたのは存続を前提とする案だった。だが、18日に朝日新聞の朝刊が岸田派の元会計責任者が立件される方向であることを報じると、首相は午後から慌ただしく動き始めた。
裏口から入ってください――…