第3回元相棒が明かす三笘薫のトリセツ 2人だけの「あうんの呼吸」とは
三笘薫を生かすコツは――。
そんな問いかけに、昨季までJ1川崎フロンターレに所属していたDF登里享平(33)=現・セレッソ大阪=は笑いながら答えた。
「アイツをどう生かすか、というより、自分がアイツに生かしてもらっていた感じですね」
そう謙遜しながら、三笘との思い出を語り始めた。
初めてそのプレーを見たのは、三笘が高校3年で川崎のユースチームにいた時のことだ。登里が所属するトップチームの練習に、参加したことがあった。
選手たちが、スタメン組とサブ組に分かれた。守備側がボールを奪ってハーフウェーラインを越えると、攻守が交代となるトレーニングがあった。
「サブ組の薫がボールを持つと、簡単にドリブルで突破して攻守が入れ替わるんです。ドリブルの姿勢、ボールの置き方は今に近いものがありました」
当然、そのままトップチームに昇格すると思っていた。しかし、三笘は筑波大に進学した。
登里はチームスタッフに「なぜ、彼はトップに上がらなかったのですか」と尋ねた。
答えは「トップに上がれるレベルだけど、本人が希望して大学に行ったんだ」。
「そんな考えの子もおるんやな」と感心した。
4年後の2020年。川崎のトップチームに入団した三笘を見て、その進化に驚いた。
「強烈でした。プレーの切れ、戦術理解度、個人戦術、すべてが上がっていた。ドリブルだけでなく、周りも使える。より洗練されていた」
開幕前のキャンプから左サイドでコンビを組むことになった。サイドバックの登里とサイドアタッカーの三笘。すぐに理解し合える関係になった。
「薫は周りを使うのがうまかったし、『戦術IQ』が高い。自分を見ながら動いてくれるし、アイコンタクトでわかり合えた。関係性はすごく良かったですね」
登里が意識したのは、三笘が…