古代日本の鶏はほとんどがオス 「日本最古の骨」からわかったこと
奈良盆地のまんなかを南北に貫く国道24号。近鉄大和八木駅から北へ車を走らせると20分ほどで右手に、渦巻き形の飾りが屋根にあしらわれた楼閣が見えてくる。このあたりに、いまは「唐古・鍵遺跡」(奈良県田原本町)と呼ばれる、弥生時代で最大級の環濠集落があった。
「紀元前5世紀ごろに成立した、この時代の拠点集落の一つです。出土する土器、青銅器、木製品が量、種類とも際だって多いことから、なかでも盟主的な性格を持った存在で、ヤマト王権の礎になった集落だったと考えられています」。当時の物流センターとしての役割も果たしていたと加えつつ、田原本町埋蔵文化財センター長の藤田三郎さん(66)はそう解説する。
そんな遺跡で1995年、キジ科の鳥の骨が発掘された。そのうち3点について鶏の骨と同定され、日本国内で出土したものとしては最古となる紀元前4世紀から同3世紀のものであることが昨年までに、江田真毅・北海道大学総合博物館教授(動物考古学)らの解析で判明した。
「最古のヒナの骨」が意味すること
1点は足根中足骨(そっこん…
- 【視点】
今回の取材で驚いたのは、最古級の鶏形埴輪で、鶏が止まり木にとまっている様子が再現されていたことです。鶏は眠るとき、止まり木にとまる習性を持つ――という事実を、古代の人々は正確に把握、尊重していたんですね。これより後に作られる鶏形埴輪のなか
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