号車ごとの混み具合、ホームドアに表示 東京メトロが実証実験

細沢礼輝
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 ホームで、自分が乗ろうとしている電車の号車ごとの混み具合が一目でわかるシステムの開発に、東京メトロ(本社・東京都)が取り組んでいる。電車到着前に混み具合を「見える化」することで、あらかじめすいている号車に移動してもらうのが狙いだ。

 半蔵門線青山一丁目駅(東京都港区)で実証実験をしており、3月末まで続ける予定だ。

 JR東日本や西日本、東急電鉄、小田急は、走行中の電車の重さから号車ごとの混み具合をリアルタイムで割り出し、スマホのアプリを通じて知らせている。このうち、JR西日本は2021年から大阪環状線とゆめ咲線で、号車ごとの混雑状況を7段階で知らせるサービスをスタート。22年からは京都線や神戸線など京阪神エリアの各路線に拡大した。

 一方、多くの路線が他社と相互直通し、各社の車両が行き交う東京メトロはこの方式が難しい。このため、2021年に独自の計測システムを開発した。

 東京メトロのシステムは、奥行きの情報を取得できる深度センサーを内蔵した「デプスカメラ」を使う。これを主要駅のホームに設置し、電車が駅を出発する際、カメラが撮影した車内画像を人工知能(AI)が解析し、「座れる」「ゆったり立てる」「肩が触れあう」「かなり混み合っている」の4段階で知らせる仕組みだ。22年9月からはアプリで全9路線のリアルタイム混雑状況を配信してきた。

 昨年12月下旬から半蔵門線青山一丁目駅の渋谷方面行きホームで始めた実験では、一つ手前の永田町駅東京都千代田区)を出発した時点での各号車の混雑状況を、ホームドア上に設けたディスプレーに表示。電車を待つ利用者が目の前にやって来る号車の混み具合をあらかじめわかるようにした。電車が到着する前に、すいている号車の乗り場に移れるようにするためだ。

 22年9月から半年間にわたって東西線早稲田駅(東京都新宿区)で行われた初回実験では、ディスプレーを見た乗客の約7割が乗り場を変える傾向が見られたという。2回目となる青山一丁目駅の実験では、乗客の行動をさらに詳しく分析し、効果を検証する予定だ。

 東京メトロの担当者は「乗換駅の構造などによって、一部の号車に混雑が集中する路線もある。こうした混雑の偏りを解消し、快適な乗車に役立てたい」と話す。

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この記事を書いた人
細沢礼輝
東京社会部|鉄道担当
専門・関心分野
鉄道を中心とした運輸部門