減る人件費、安定ポスト、研究時間…国立大法人化20年、現場の嘆き

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山本知佳 増谷文生 聞き手・増谷文生
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 国立大学が法人化されて20年。運営費交付金は削減され、研究費の多くを競争的資金で獲得する仕組みに変わった。法人化の目的とされていた、国立大の研究力や教育力は活性化されたのか。朝日新聞は学長とともに、全国大学高専教職員組合の協力を得て教職員にもアンケートを行い、407人から回答を得た。数多く寄せられたのは、厳しい現状を訴える声だった。

トイレの改修にクラウドファンディング

 「学生が安心して使えるトイレを増やしたい」

 金沢大は昨年、トイレを改修するためにクラウドファンディング(CF)を実施した。2カ月で目標額300万円を上回る355万円を集めたが、SNSでは「どんだけお金ないのよ……」などと驚きの声が広がった。同大の社会科学系学部の教授からは「(施設整備費など)必要な経費が回ってこない」との声が届いた。

 国からの運営費交付金は、ト…

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この記事を書いた人
増谷文生
論説委員|教育担当
専門・関心分野
教育(主に大学)、運輸