「立ち止まって考える」模索した1年 リロン編集部から

編集長・佐藤美鈴
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 言論サイトRe:Ron(リロン)は、4月19日でオープンから1年を迎えた。「立ち止まるためのメディア」をコンセプトに、平日1日1本のペースで記事を発信。加速する情報化社会のなか、立ち止まって考えを深めることの難しさを感じつつ、模索を続けている。

 昨今はなにかと「タイパ」や「短尺」が求められがちだが、リロンの記事は基本3千字ほど。さらに長い場合もある。複雑な社会を考える「論」であれば、ある程度の長さが必要と考えるからだ。

 福島の処理水放出をめぐる地元発の寄稿では前後編で9千字、映画「怪物」をめぐる鼎談(ていだん)では2万字超の記事を配信。多くの人が時間をかけて向き合ってくれた。今後も、内容に応じた適切な長さや発信の形を模索していきたい。

 「立ち止まる」に通じる、「スロー」の価値を問い直す潮流は他サイトにもある。丁寧に調査報道に取り組む「スローニュース」、長文の論考で考えさせる「遅いインターネット」、“遠くをみる”を掲げる「DISTANCE.media」……。「急がない」「はっきりさせない」「近道しない」など、あえて「しない」ことも大切に、時代の流れにあらがっていきたい。

 編集部では「リロンらしさ」についても議論を重ねてきた。言論の裾野を広げたいとの思いを込めて、リロンでは、足元から社会課題を考えることに重点をおいている。専門家はもちろん、当事者や課題に向き合う人、若い世代の視点を意識的に取り上げてきた。

 身近な課題を言語化し、社会の出来事を自分事としてとらえ、対話を通して「論」を深め合う。そんな輪が広がっていくことを願っている。

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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2024年4月27日5時0分 投稿
    【視点】

    がんばらない宣言 いわて。2001年に岩手県が世に出したそんなキャッチフレーズが、話題を呼びました。当時の増田寛也知事が、込めた思いを、こう語っています。「右肩上がりの時代が終わり、地球に負荷をかけない生き方が求められている。経済成長一辺倒

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