住民説得、積立金を5倍に増額 大規模修繕に挑んだマンション理事長

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亀岡龍太
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 分譲マンションの老朽化が急速に進み、大規模修繕が社会課題となっている。住民(区分所有者)が負担する修繕積立金では足りず、値上げしようとしても住民の合意をなかなか得られないケースが少なくない。

 そんな中、高知市針木東町の「針木ガーデンヒルズ」(120戸)は、管理組合の理事長の奮闘で、修繕積立金をこの9年で4度引き上げて修繕に成功し、将来の安定的な管理計画も作った。

 このマンションは2003年、市内有数の大規模集合住宅として完成した。

 数年後に入居した元放送局社員の松田伸一さん(75)は09年3月に理事長に就任し、16年目だ。「理事長は当時からなり手不足。打診を受け、『それなら自分が』と引き受けた」と振り返る。

 当初困ったのは「分からんことだらけ」だったことだ。管理会社に相談しても、すぐに返答が来なかった。

 「住民の暮らしを守るには、詳しい知識を身につけることが必要だ」。そんな思いで、難関とされる国家資格の一つ、マンション管理士をめざした。

 周囲から「絶対無理」と言われたが、平日は資格講座を受講し、週末は図書館に弁当持参で独学する生活を半年近く続けて「一発合格」した。

 この資格を携えて、松田さんは、長寿命化や資産価値の向上のために十数年ごとに実施する大規模修繕に取り組んだ。

 費用は区分所有者が管理組合…

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    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2024年5月26日10時35分 投稿
    【視点】

     以前住んでいたマンションの大規模修繕に関して、管理組合での議論に参加したことがありますが、そこで初めて、マンション管理には思いのほか複雑で多岐にわたる知識が必要であることを知りました。そして、大規模修繕の際には、こうした知識を踏まえた上で

    …続きを読む