麴、糀、こうじ…使い分けは?漢字が醸し出す「文字感」を観察すると
小林製薬(大阪市)の紅麴(べにこうじ)成分を含むサプリメントをめぐる健康被害の問題で、にわかに「こうじ」に注目が集まっています。
「麴」「麹」「こうじ」と新聞各社の表記は分かれており、「こうじ」と読む漢字には「糀」もあります。どのような使い分けがあるのでしょうか。早稲田大学社会科学部の笹原宏之教授(日本語学)に聞きました。
――それぞれの成り立ちは。
「こうじ」を表す「麴」という漢字は、2千年以上前の中国の古い文献に使われています。右側が「菊」に似た字「匊」であることから、もともと「きく」というような音で発音されていたことがうかがえます。そして、中国では「こうじ」は麦で作ることが多かったので、左側に「ばくにょう」がついている、というのがこの漢字の成り立ちです。
この「麴」の字体を簡易化した略字が「麹」です。
「麴」は食品のほかに漢方薬にも使われてきました。
その後、奈良時代(8世紀)までに日本にもこの漢字が入ってきました。
日本でも麦麴はあったようですが、米で作ることが多かったために、素材に合わせようと「糀」という漢字が生まれました。
米にコウジカビが生えている様子が花が咲いたように見える、という比喩を使った造字で、日本人が作った国字です。
安土桃山時代(16世紀後半…