親の年収300万円台の東大生 学費値上げは「ブランド価値落とす」

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聞き手・吉田純哉
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 東京大学が授業料を年10万円以上値上げすることを検討している。世帯年収300万円台で東京大学に入ったという現役東大生ライターの布施川天馬さんは「東大は自らブランド価値を落としている」と指摘します。苦学生にとっての10万円の負荷とは。そして、東大のあるべき姿とは。

「アルバイトすれば」「奨学金もらえば」と言われるが…

 ――学費は志望大学を選ぶ際に関わりますか。

 「僕の場合は大きく影響しました。世帯年収は300万円台で、学費は自分で支払わないといけなかった。そのために私立大学ではなく、学費の安い国公立で、東京都足立区の自宅から通える東京大学を志望しました」

 「本来であれば、学費ではなく、自分のやりたいこと、めざすキャリアに合わせて大学や学部を選んだ方がいいと思うんです。だけど、実際にはお金の問題で進学を断念するのは珍しい話ではありません」

 ――東大が授業料を2割増額する案を検討しています。それだと年53万5800円から64万2960円に値上がりし、10万円以上の負担が増えます。

 「ほとんどの東大生にとって…

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この記事を書いた人
吉田純哉
オピニオン編集部
専門・関心分野
スポーツ、文化、教育
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    上西充子
    (法政大学教授)
    2024年7月24日9時36分 投稿
    【視点】

     布施川天馬さんが詳しく語っておられるように、経済的に豊かではない学生にとって、授業料の年10万円の値上げは大きな負担増です。授業料をみずからのアルバイトでまかなって学ぼうとする学生にとっては、年10万円を追加で稼ぐことは大変でしょう。

    …続きを読む