第3回億ションを娘に譲った夫婦の大誤算 1億6千万円を老老相続した悲劇
編集委員・森下香枝
生きているうちにきれいにお金を使い切り、死ぬときは「ゼロ」で――。そんな生き方が注目を集めている。ただ、相続などが絡むと、簡単にはいかなくなる。
東京都内でリース会社を営む70代の夫妻は、都心部の億ション2部屋、関西の別荘などの不動産、多くの金融資産を所有する資産家だ。
相続税対策もあり、「生きているうちに財産を娘に贈与したい」と、それぞれの不動産を夫妻と娘3人の共有名義に変更した。
さらに自社の株の55%を娘の名義にした。
娘夫婦と孫は約10年前から一方の億ションの1室に住んだが、その管理費や固定資産税、車や家具・家電の購入、孫の学費など大きな出費は夫妻が払い続けていた。夫妻の収入は、会社の役員報酬、配当・利息などがあり、十分に余裕があった。
だが、娘の長年の散財と会社の業績悪化が重なり、昨年には預金が2千万円まで目減りした。
このままでは老後資金が足りなくなり、「ゼロ」どころか「マイナス」になりかねない事態に。
記事後半では、親やきょうだいの遺産を相続するときは自分も高齢者になっているという「老老相続」の実態に迫ります
そこで娘夫婦に「これからは…