世界のパワハラ 日本でしか聞かれない質問が象徴する「指導文化」

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聞き手・岩田恵実
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 最近では兵庫県や自衛隊で問題になっているパワハラ。自治体、大学、企業……。パワハラにまつわるニュースが絶えません。日本は、世界と比べても問題が深刻なのでしょうか。労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎労働政策研究所長に聞きました。

 ――世界でも職場のハラスメントは問題になっているのでしょうか。

 この20年ほどで、世界的に問題として捉えられるようになり、2019年に職場の暴力とハラスメントを禁じる条約が国際労働機関(ILO)で採択され、21年に発効しました。「ハラスメント」という言葉は一般に浸透していますが、国によって問題意識の背景が異なり、それぞれ独自の用語、用法があります。

日本でだけよく聞かれる質問

 「パワーハラスメント」は、日本でしか通じません。日本のパワハラにあたるような職場での行為は、フランスでは「モラルハラスメント」、英国では「bullying」、ドイツでは「mobbing」と呼ばれています。英語、ドイツ語はいずれも「いじめ」という意味の言葉です。

 ――日本は世界でもハラスメ…

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この記事を書いた人
岩田恵実
国際報道部
専門・関心分野
中国、事件、災害
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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年8月12日10時51分 投稿
    【視点】

    パワーハラスメントは和製英語で、日本のコンサルティング会社が作った言葉らしいという指摘はある。英語のwikipedia にもpower harrasment という項目はあるが、日本と韓国の事例が主である。 https://www.dai

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