御巣鷹 離れた場所から祈り捧げる遺族の思い 死を実感する「原点」

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宮島昌英
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 乗客乗員520人が犠牲になった1985年の日本航空ジャンボ機の墜落事故から12日で39年となる。多くの遺族が事故が起きた日と同じ日に現場となった御巣鷹の尾根群馬県上野村)へ慰霊登山するなか、遠く離れた場所から祈りを捧げる遺族もいる。

 「来年は行けるかしら。行けても登山口までかしら」

 夫の武さん(当時56)を亡くした兵庫県西宮市の福田恭子さん(85)は、今年の慰霊登山を断念することにした。

 武さんが亡くなった御巣鷹の尾根は「原点」だと語る。事故翌年から、コロナ禍を除いて毎年登ってきた。ほかの遺族と会えるのも楽しみにしてきた。

 武さんは、東京での葬儀の帰りに123便に搭乗した。翌日の便に乗る予定だったが、キャンセル待ちで空席が出たため、変更していた。

 遺体は、事故から1週間後に上半身が確認されたが、下半身は見つけることができなかった。遺体の確認は、同じ会社で働いていた弟がした。「姉さんは見ない方がいいよ」と言われたからだ。そのあとに見つかった左手だけは、直接確認することができた。亡くなった武さんの顔を見ていない恭子さんにとって、御巣鷹は武さんが亡くなったことを実感できる場所だ。

 2019年1月に大腿(だい…

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この記事を書いた人
宮島昌英
さいたま総局|事件担当
専門・関心分野
国内政治、日本史、大相撲