第1回また引き継がれた「選択的夫婦別姓」 岸田首相、保守派への配慮貫く
政策検証 岸田政権の3年(1)
岸田文雄首相が3年の任期をもって退陣します。「選択的夫婦別姓」や少子化をめぐる対策など、棚上げにしてきた政策は数知れず。宿題は次の首相に引き継がれます。主な課題を6回に分けて検証します。
9月の自民党総裁選では、岸田文雄首相が積み残した課題にどう向き合うのかも問われる。なかでも主張がはっきりと分かれそうなのが「選択的夫婦別姓」だ。夫婦が名字を同じにするか別々にするか、法改正して自由に選べるようにするもので、早期導入を求める声は大きい。だが岸田氏は党内の保守派に配慮し、慎重な姿勢を貫いた。
最初に名乗りを上げた小林鷹之前経済安全保障担当相は、8月24日のテレビ出演で「不利益や不便を感じる方がいることは認識している」としたうえで、「旧姓の通称使用が制度改正によって拡大している」と述べ、選択的夫婦別姓の導入に消極的な考えを示した。兄弟姉妹で姓がバラバラになることへの懸念があるとも指摘する。安倍晋三元首相の政治路線の継承を掲げ、立候補を目指す高市早苗経済安保相は、7月23日のネット番組で「安倍総理は夫婦別氏はダメだと言っていた。戸籍のファミリーネーム、家族一体の氏というのは残したい」と強調する。
「伝統的な家族観」にこだわる自民議員が意識するのが、保守系団体の意向だ。日本会議や神道政治連盟、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)などは選択的夫婦別姓に反対の立場を取っており、ある団体の関係者は「夫婦別姓に反対でなければ応援しない」と明言する。
世論調査では賛成73%
ただ、社会の大勢とは言いがたい。自民党の支持母体でもある経団連は6月に早期導入を求める提言を出した。現状がビジネスの阻害要因になっているとの理由からだ。朝日新聞が7月に実施した世論調査では、選択的夫婦別姓について賛成が73%で、反対の21%を大きく上回った。自民支持層でも賛成が64%にのぼった。
経団連の提言を受けても、岸…
- 【視点】
自民党を絶対に支持できない理由の一つが、この選択的夫婦別姓と同性婚への消極性である。神道政治連盟、日本会議、旧統一会議など、民意とは乖離した超保守的な思想を頑迷にふりかざす諸団体が自民党にとりつき、自民党もそれらに阿り、人々の生活や人生にと
…続きを読む