憲法の「根本」13条違反の重大さ 最高裁が見せる権力抑制への意欲
あすを探る 青井未帆さん
最高裁は、2023年と24年に立て続けに、生殖機能への制約に関わる法について、憲法13条に違反するとした。最高裁が法令の規定について13条違反を判断したのは、23年が史上初めてである。13条は「すべて国民は、個人として尊重される」などと謳(うた)っているところ、最高裁は「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」を導き、違憲判断を下した。
6人の論壇委員が交代で執筆するコラム「あすを探る」。今月の筆者は、憲法担当の学習院大学教授・青井未帆さんです。
13条違反とされるのがいかに重大なことか、確認しておきたい。日本国憲法は明治憲法の改正として制定された経緯もあり、第1章を天皇関係、第2章の1カ条(9条)を平和条項として、これらの後ろに、基本的人権を保障する第3章を掲げている。
そこで13条は条文番号こそ13であるものの、個人をすべての価値の淵源(えんげん)とする日本国憲法の理念を示す、根本的な条文である。したがって、13条違反と裁判所に断ぜられるような法律を立法府が制定することは、極めて異常な事態である。
ではどのような立法が違憲と…
- 【視点】
昨今、最高裁はLGBT関係の事案ではたまたま踏み込んだ判決を続けていますが、実際に弁護士をしている中で、それ以外の事案では最高裁に「権力抑制への意欲」など感じたことは全くありません。 旧優生保護法の違憲判決も、既に人権侵害性が明らかになって
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