第8回ノーベル賞は遅いくらい ハン・ガンさんが語っていた「書店愛」
聞き手・守真弓
コラム「モジモジ? Kカルチャー」
東京・神保町にある韓国書籍専門店「チェッコリ」店主で、出版社「クオン」社長の金承福さんが、韓国カルチャーについて語ります。
先月10日、ハン・ガンさんがノーベル文学賞を受賞すると聞いた時は、「本当に?」と叫びました。彼女は私たちにはとても近しい作家なのです。
私の経営するクオンが2011年に初めて出版した文学作品が彼女の「菜食主義者」でした。委託されて韓流ファンのための雑誌などは出していましたが、当時まだ会社は駆け出し。文学の専門出版社にしたいと思い、私は韓国文学を読んでは自分なりに点数をつけ評価を記録していました。
その中で、ダントツの1位であり続けたのが「菜食主義者」だった。中編の連作で、それぞれが完結していながら、つながった作品としても読める。そうした構成も面白いし、描かれている世界観も魅力的だった。何より文体が洗練されていて、詩的で。同じ時期に、翻訳者のきむ ふなさんからも翻訳したいと連絡があって「小説が好きな人ならば、どこの国の人でも楽しめる作品だろう」と確信しました。
表紙はたまねぎの絵にして…