多くの人が減税、税収は激減…国民民主「103万円の壁」対策を試算
石破茂政権の行方を左右するキャスティングボートを握ることになった国民民主党。玉木雄一郎代表が訴える「103万円の壁」対策に注目が集まっている。所得税の課税最低ラインをめぐるもので、多くの人に影響が及ぶ。いったいどういう内容なのか、税制に詳しい大和総研の是枝俊悟主任研究員に聞いた。
――国民民主党のいう「103万円」とは何ですか。
「103万円というのは、所得税がかかり始める『課税最低ライン』のこと。昭和の時代には、物価の急激な上昇に合わせて、課税最低ラインを引き上げていました。ここ30年は物価の変動がほぼなく、むしろ(物価が下がる)デフレでもあったので、引き上げの必要はありませんでした。ここ数年は物価が上がっていますから、そろそろ引き上げを議論するべき時期がきています」
――課税最低ラインはどのように決まりますか。
「生活にかかる最低限の費用に充てる所得には課税しないという考え方があり、まず『基礎控除(48万円)』というラインがあります。会社員などの勤め人は、それに『給与所得控除(最低55万円)』を加えた計103万円まで所得税がかかりません。物価が上がれば生活にかかる費用は増えますから、その分を引き上げるのが適当だと考えられます」
高額所得者ほど大きい減税幅
――国民民主党の案は、東京の最低賃金の引き上げ率をもとに、基礎控除を75万円引き上げて123万円にするというものです。給与所得控除を加えると課税最低ラインは計178万円になります。
「かなり大きい減税です。試…