クマ駆除「要請応じない」支部判断も容認 北海道猟友会が通知へ
北海道猟友会は25日、札幌市内で三役会を開き、ヒグマの駆除要請に対して、「要請に応じない選択肢も含めて、各支部で市町村や警察と協議を進める」との通知を出す方針を固めた。今月中にも71支部に通知する。
きっかけとなったのは、今年10月に出た札幌高裁判決だった。
2018年8月、道猟友会砂川支部長の男性が市から依頼され、ヒグマを駆除した。この際、男性が建物に向けて発砲したとの理由で、銃の所持許可を取り消された。
取り消しは違法と訴えた裁判で、一審判決は、建物に弾丸が当たる具体的な危険性を認めなかったが、高裁では判断が一転した。
「弾丸がヒグマに命中したとしても、その後弾道が変化するなどして、建物に届く恐れがあった」として、訴えを退けた。原告側は10月24日に上告した。
道猟友会の堀江篤会長は「ボランティア同然で駆除に出たのに、銃の所持許可を取り消されたら、(出動自体を)慎重にならざるを得ない」と話す。判決後、駆除の現場に出ることへの不安も各地からあがっているという。
そんな状況から、道猟友会は出動態勢を検討してきた。今後、各支部に要請を受けた際の責任の所在を明確にするべく、市町村や警察と協議を進めるよう通知する。
不安が残る場合は駆除の要請に応じなくても構わない。堀江会長は「いままで以上に関係機関と協議を重ねて、出る、出ないを判断して欲しい」と話す。
道庁によると、ほとんどの市町村が猟友会にヒグマの駆除を依頼している。猟友会が要請に応じなければ、自治体は駆除体制を再構築しなければならない。クマをだれが駆除するのか。