シリアのアサド政権倒した過激派組織の正体 「穏健」イメージを発信
其山史晃
中東シリアで父子2代、半世紀以上にわたって権力を握ってきたアサド政権が崩壊した。政権軍を打倒した反体制派の中核となったのが「シャーム解放機構」(HTS)だ。米国などからテロ組織に指定されている団体だが、今後、どのような統治をするのか。
「ここ数年、シリアの解放地域では内部の意見が統一され、制度的な構造が確立されてきた。統一された訓練キャンプで、身につけた規律で組織的な戦闘ができるようになった」。HTSの指導者ジャウラニ氏は今月、米CNNの取材にこう答え、反攻に向けて周到な準備を進めていたことを明らかにした。
2011年に中東の民主化運動「アラブの春」がシリアに波及したが、アサド政権は軍や治安機関を使ってデモを武力弾圧した。これに対抗するために武器を取って抵抗したのが、反体制派の始まりだ。
その後、各地で乱立した武装組織は離合集散を繰り返し、統一的な協力体制をつくることができなかった。ジャウラニ氏の発言は、HTSがこうした反体制派の積年の課題を克服し、今回の進撃を実現したことを示唆した。
HTSとはどのような組織なのか。
アルカイダ、「イスラム国」との深い関係
指導者のジャウラニ氏は20…