シリアのアサド政権倒した過激派組織の正体 「穏健」イメージを発信

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其山史晃
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 中東シリアで父子2代、半世紀以上にわたって権力を握ってきたアサド政権が崩壊した。政権軍を打倒した反体制派の中核となったのが「シャーム解放機構」(HTS)だ。米国などからテロ組織に指定されている団体だが、今後、どのような統治をするのか。

 「ここ数年、シリアの解放地域では内部の意見が統一され、制度的な構造が確立されてきた。統一された訓練キャンプで、身につけた規律で組織的な戦闘ができるようになった」。HTSの指導者ジャウラニ氏は今月、米CNNの取材にこう答え、反攻に向けて周到な準備を進めていたことを明らかにした。

 2011年に中東の民主化運動アラブの春」がシリアに波及したが、アサド政権は軍や治安機関を使ってデモを武力弾圧した。これに対抗するために武器を取って抵抗したのが、反体制派の始まりだ。

 その後、各地で乱立した武装組織は離合集散を繰り返し、統一的な協力体制をつくることができなかった。ジャウラニ氏の発言は、HTSがこうした反体制派の積年の課題を克服し、今回の進撃を実現したことを示唆した。

 HTSとはどのような組織なのか。

アルカイダ「イスラム国」との深い関係

 指導者のジャウラニ氏は20…

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この記事を書いた人
其山史晃
中東アフリカ総局長
専門・関心分野
中東、安全保障、地政学、テロリズム
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    錦田愛子
    (慶應義塾大学教授=中東政治、難民研究)
    2024年12月10日1時57分 投稿
    【視点】

    政権に反対する勢力に対する強硬な弾圧で知られたアサド体制が崩壊したことは、シリア国内の政変としてひとつの転機を迎えたということができる。しかし今後の課題は、シリアが第二のアフガニスタンになるのを避けられるか否かだ。指摘されているように、政権

    …続きを読む