真冬の駅、子ども2人と震えた 公的支援だけなら「みな死んでいた」

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定塚遼
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現場へ! ホームレス難民(3)

 日本では難民申請者が路上生活を強いられることが少なくないが、他国ではどうか。

 ドイツを中心に、難民申請者の生存権を研究する千葉大学助教の山本響子さん(30)に聞くと、「ドイツでは、到着した日から住居と食べ物、衣服、医療などが与えられるので、通常、路上生活にはなりません」と話す。ドイツでは昨年、日本の20倍以上にあたる33万人の難民申請があった。

 認定NPO法人「難民支援協会」によると、日本以外の主要先進国のほとんどで、難民申請者の庇護(ひご)を定めた法律があるという。しかし日本では、民間のNPOなどが命をつないでいる。

 2年前にアフリカから日本に逃れてきた30代女性のイディさん(仮名)もそうだった。夫と子どもと暮らしていた村が武装勢力に襲撃され、多くの人が殺された。先に逃げるよう夫に言われ、村を出た。夫は殺されたと、後に知った。

 その年の瀬、東京都内の駅構内で、2人の子どもと寒さに耐えていた。「子どもたちは凍え死なないか、夫は生きているのか」。不安が頭を巡る。おなかの赤ちゃんが動くたびに「守らないと」と思う。でも、どうやって……。震える子どもと身を寄せ合って、苦しい夜を過ごした。

苦境の支援団体「救える命が救えなくなる」

 その後、NPOにたどり着い…

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この記事を書いた人
定塚遼
文化部|企画など
専門・関心分野
音楽など文化全般。生きづらい人を減らす取り組み
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    田中宝紀
    (NPO法人青少年自立援助センター)
    2024年12月23日12時4分 投稿
    【視点】

    「出口のない長期支援」とはまさにその通りの状況です。今年度いくつかの難民支援団体と協働で彼らの活動を応援してきましたが、難民状況の当事者がおかれた現状と支援団体の奮戦ぶりは想像のはるか上にあったことに、改めて驚かされました。 日本に暮らす難

    …続きを読む