原発回帰ありき、事実上「増設」も エネルギー基本計画の素案公表

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多鹿ちなみ 三浦惇平
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 経済産業省は17日、エネルギー政策の方向性を示す新しい「エネルギー基本計画」(エネ基)の素案を発表した。東日本大震災後に定めた「原発依存度を可能な限り低減する」との文言を削り、「特定の電源や燃料源に過度に依存しない」と差し替えた。さらに、原発の建て替え(リプレース)を進める方針も示した。

 今回の素案は、2040年度に向けた政策の方向性を示すもの。電気をたくさん使う半導体工場やデータセンター(DC)が相次いでできるとし、40年度の電力需要はいまの約1.2倍にあたる1.1兆~1.2兆キロワット時に増えると想定。原発と再生可能エネルギーを「脱炭素電源」ととらえ、ともに「最大限活用」すべきだとした。

 ただ、原発は再稼働が進まず、足元の割合は1割に満たない。電力需要が増える前提で「2割」を達成するには、いっそうの後押しが欠かせないとする。

 そのため素案では、廃炉を決めた原発の敷地内に限って認めた建て替えを、同じ電力会社なら別の原発の敷地でも、廃炉した分だけ原子炉をつくれるとした。事実上の増設を認めた形だ。

 原発の建設には約20年かか…

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この記事を書いた人
多鹿ちなみ
経済部
専門・関心分野
エネルギー政策、人権、司法
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    たかまつなな
    (笑下村塾代表)
    2024年12月18日13時39分 投稿
    【提案】

    東日本大震災当時、各種省エネ技術の導入と、人口減により、電力需要の伸びは将来的に穏やかになると考えられていました。しかし、電力需要は緩やかになるどころか大きく増加しています。 省エネ技術は進んでいて、コンピューターで言えば、2013年には1

    …続きを読む