障害者と共に店を切り盛り、長谷川さんに厚労相表彰 ほめて伸ばす

宮田富士男
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 障害者が働く鹿児島市のレストラン「ピースフルガーデン」の調理長、長谷川修一さん(53)が、今年度の調理業務功労者として厚生労働相から11月に表彰された。

 調理業務功労者は、長年にわたり調理業務に従事し、技術の発展や調理師の資質向上に貢献した人で、今年度は全国で70人が表彰された。

 レストランは社会福祉法人正和会が運営する障害者就労継続支援A型事業所で、知的障害がある12人が調理補助やホール係として働く。メニューは日替わり定食や唐揚げ、焼きサバなど。長谷川さんはメニュー考案と調理全般を担当し、料理の盛りつけや接客の仕方などを指導する。

 鹿屋市出身。高校卒業と同時期に調理師免許を取って大阪へ。日本料理の修業を積んで石川、東京の旅館や和食店で働いた。母親が体調を崩したため2008年に鹿児島市へ。ピースフルガーデンの求人を知って応募した。

 知的障害者とは接したことがなく、「マイナスからのスタートだった」と振り返る。食器や鍋を洗う際の道具や洗剤の指示を忘れた時、従業員が金属製たわしでフッ素樹脂加工の鍋をこすったり、素手のまま塩素系の漂白剤を使ったりした。この出来事で、一つ一つの作業には的確な指示が必要だと学んだという。

 心がけているのはほめて伸ばすこと。調理補助の従業員がチキン南蛮をつくる際、唐揚げにタルタルソースをきれいにのせると、「めっちゃうまいやんか」「パーフェクトやね」とほめまくる。それが意欲を引き出すという。「いずれ民間企業で働く人が出てくれば」と期待する。

 一方、手洗い、うがいは徹底させた。「作業ができる、できないという前にまずは食中毒を出さないことが大事」。2007年のオープン以降、食中毒も事故も起こしていないというのが誇りだ。

 ピースフルガーデンで働いて7年になる女性(27)は「関西弁でやさしく教えてくれる」。8年になるホール係の男性(29)も「ここはたのしい職場です」と喜んでいる。

 長谷川さんは、平安時代に始まったとされる包丁儀式の「四條流」16代家元入口修三さんの門下生。「大家なのにものすごく謙虚」な家元にならい、表彰されても「おごらず精進したい」と話した。

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この記事を書いた人
宮田富士男
鹿児島総局|行政、川内原発、水俣病
専門・関心分野
人権