岸和田市長の不信任決議のきっかけとは 和解調書に異例の「所見」

山本逸生
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 大阪府岸和田市の永野耕平市長に対し、市議会は不信任決議を可決した。

 不信任決議のきっかけとなった裁判は、市長と政治活動で関わりのあった女性が「性的関係を強いられた」と約2280万円の賠償を求め、大阪地裁に起こしたものだった。

 通常は原告・被告名や訴訟記録を第三者も閲覧できるが、地裁は事案の性質を踏まえ、閲覧を制限すると決めた。一方で審理自体は公開の法廷で行われ、今年5月には永野市長が出廷し、遮蔽(しゃへい)のなかで「同意があった」などと反論した。

 和解は11月14日に成立した。市長が解決金500万円を払って女性に謝罪する内容で、林潤裁判官は異例の「所見」も和解調書に書いた。

 「市長の年齢・地位や日頃の言動からうかがわれる影響力、女性の就業歴や年齢などを考慮すると、純粋に対等な関係だったとはいえない」とし、「市長は女性の就職や雇用維持を左右しうる立場にあり、社会的な上下関係がおのずと形成されていた」と言及。市長が公人で配偶者がいることにも触れ、「非難を免れない」と批判した。

 女性側代理人によると、第三者に和解内容を明かさない口外禁止条項は協議の結果、盛り込まれないことになったという。

 女性は市長との関係でめまいや不眠に悩まされ、婚約者とも別れることとなった。今も仕事に就けず、薬の助けがないと眠れないという。「和解したくなかったが、心身ともにぼろぼろ。裁判を早く終わらせたい思いで諦めたのが実情で、今でも本当に悔しい」とコメントしている。

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この記事を書いた人
山本逸生
大阪社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、福祉、労働